長い夢

□冥姫 第十八話
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大切な話があると言われ局長室に呼ばれた私

前方にはどこか落ち着かない近藤さんと、苦虫を噛み潰したような土方さんがいる。


近藤さんが言いにくそうに話しを切り出した。


「美月ちゃん キミにしかできない仕事があるんだ、
俺としてはとても心苦しい!
できるならさせたくはない…!」


なんだろう
危険極まりない仕事かな。


「キャキャキャバ嬢になってくれ!!」


は?


「キャバ嬢?キャバ嬢ってキャバクラで働く女性のことですよね」

「無力なお兄ちゃんを許してくれェェ!」

「いつから兄妹になりましたか」

「やっぱりダメだ!山崎にやらせよう」

「だから最初から女装させた山崎にやらせりゃいいって言ったんだ」


自己完結しだした。


「潜入捜査か何かですか?」

「実は内密なことなんだが」


近藤さんが口を手で隠して内緒話し。


「そういう理由なら私がやります
当日だけですし」

「宮中!もっと自分を大切にしろ!」

「トシの言うとおりだ!」


なんか身売りしようとしている人に言うような台詞だな。


「確かに潜入捜査なら山崎さんのほうが適任です

でも表立った護衛なら私のほうが適任だと思いますよ」

「し、しかし」

「いいじゃないですか一日くらい、本当のキャバ嬢になるわけじゃないんですから」


微笑んだ。


「しょうがねェ
お前がそこまで言うなら許し‥て‥やるよ…」


すっごい不服そうだ。

それに許すって表現おかしくない?

なんで許す?

将軍様の護衛をするだけなのに、なんで私がワガママ通したみたいになってんの?


「護衛は二日後だから
嫌ならいつでも言っていいからね!」


近藤さんがガシッと肩を掴んだ

痛いです。





当日

私は一足先にスナック“すまいる”に向かった。


先方に話は通してあるので問題ない。

表から店内に入る。


「ごめんください」

「あーまだ店 開いてないんで」

「いえ、真選組から来た者ですけど」

「きみがそうか、こっちこっち」


ホールのソファに座った店長さんらしき人が手招きする。


「今日は宜しくお願いします」

「…美月ちゃん…?なんでここに居るの」


お妙さんはいいとして
なぜかいる坂田さんに新八君に神楽ちゃん。


「私は仕事で、坂田さんたちはどうしてここに?」

「なんか女の子紹介しろって言われてさー」


キャバ嬢の斡旋(あっせん)でも始めたのか?


詳しく話を聴いたところ
すまいるでは夏風邪が大流行していて、お妙さん以外のキャバ嬢さん達が全員ダウンしてしまったということだった。

 
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