長い夢

□冥姫 第十六話
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廊下を歩いていたら
近藤さんと土方さんが二人で一つの新聞を読んでいる場面に出くわした。

仲良しさんだ 微笑ましい。


「連続婦女誘拐か、お妙さんは絶対大丈夫だよな〜」

「違う違う その右」


「総悟がまたやったか〜
責任はお前がとってくれるよな〜」

「局長である あんたの責任」


…話の内容は微笑ましくなかった。


管理職の苦労を垣間見た気がする。





近ごろ真選組の評判は良くない
むしろ下がるいっぽうだ

原因は…まぁ、あえて伏せておく。


このままではよくないので早急にイメージアップキャンペーンをしようということが会議で決定した。


「と、いうわけで美月ちゃん頼む!イメージアップのメインキャストになってくれ」

「なんで私なんですか」

「真選組の一員だし女の子だし」

「嫌ですよ、恥ずかしいし目立つの好きじゃないんです」


色々と面倒なことになりそうだから。


「そう言わずにさぁ〜頼むよ〜
ちょっと市民の前で笑顔ふりまいて演説するだけでいいから」

「いくら近藤さんの頼みでも嫌です」


それに冥府の番人みたいに言われてる私がイメージアップに貢献できるとは思わない。


「どうしてもダメ?」


食い下がる。


「普通そういうのは人気アイドルが一日局長とかやるものだと思うんですけど」

「アイドル、一日局長、か
よし!それでいこう!」


最初からアイドルでいけばよかったのに。



−−−



選挙カーのような車の上で近藤さんが熱心に演説をしている、
立ち止まる人はまばら。


仕方ないと言えば仕方ないので本日の目玉となる人物に車の上にあがってもらう。


「あれ〜?
みんな元気がないぞォ
もっと大きな声で
戸締まり用心火の用じん臓売ったらんかいクソッたりゃあ!」


じん臓売ったらんかいクソッたりゃあ!!と一般市民の人たちが声をあげる。


「こんにちは寺門通でーす
真選組一日局長を務めさせて頂くことになりました」


芸能人は集客力が凄いな。


「さっそくですが聞いてください“ポリ公なんざクソくらえ!!”」


一日局長のときに歌う選曲としてはいかがなものか。


呼んでよかったと言う近藤さんとそんなわけないと言う土方さん。





場所を家康公像前の広場に移した。

隊長さんと隊士さんたちが綺麗に並んでいる。

まず近藤さんが今回の目的を話す。


「いいかァァー今回の特別警戒(キャンペーン)の目的は正月で気の緩んでいる市民にテロ警戒を呼びかけ
近ごろ急落してきた真選組の信用を回復することにある!!

アイドルの寺門通ちゃんに一日局長をやってもらうのもイメージアップのためだ!
今日は絶対暴れるなよ!」


隊士さんたちがサインを求めてお通ちゃんに駆け寄る。


「バカヤロォォ!!」


近藤さんの拳が炸裂。


「てめーらが浮かれてどーする」


さすが近藤さん

でも背中にあるサインは何ですか。


「制服にサインもらってんじゃねーか!」

「ふざけんな!」


隊士さんたちの怒りは、しょうがないと思うよ。


「すっかり士気があがっちまって」

「舞いあがってるだけだ」

こんな調子でいいのだろうか?

 
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