長い夢

□お前への懐い 俺の思い 前編
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「土方さん 沖田さんがどこに行ったか知りませんか?」


宮中が俺の自室に尋ねて来た。


「その辺にいるんじゃねェの」

「それが見当たらないんですよ、せっかくジュース買ってきたのに」


総悟の野郎 どこ行きやがった。


「遅かったねィ」


総悟が宮中の背後から声をかけた。


「沖田さん捜しましたよ
はい ジュース買ってきました」


コーラを総悟に手渡す。


「俺はコーラじゃなくてオレンジジュースが飲みたい気分なんでさァ」

「そうだったんですか
すみません買ってきます」


宮中はまた使いに行った。


オレンジジュースを買ってきた宮中に総悟は


「やっぱりファンタのグレープが飲みたい気分でさァ」


お前って奴は…。


宮中がグレープを買ってくれば


「急にアップルが飲みたくなりやした」

「総悟いいかげんにしろ
それから金払えよ」


さすがに見かねた。


「金は土方さんから貰ってくだせェ」

「なんで俺なんだよ!?」


総悟は逃げて行った。


「あー、なんだ
あんま気にすんな」

「はい…でも私
沖田さんに嫌われてるんですね」


少し宮中の眉が下がる

おそらく無意識だろう。

前に山崎に慰められてるのを見たことがあるが
そん時はいつもの笑顔で大丈夫と言っていた。


「あいつはドSだからな
気に入ってるから あんなことするんだよ」

「そうでしょうか」

「ああ」


総悟 お前のせいで宮中が凹んでるぞ

泣いてはないがお前が見たがってた表情の一つなんじゃないのか?

なのに なんで今いないんだよ

今いないとお前はまた見たがって宮中がどこかでこんな顔するだろうが。


宮中が持っていたファンタを奪った。


「喉が乾いてんだ貰うぜ」


宮中の手を取って500円玉を乗せる。


「別にいいですし多いですよ」


「細かいのがそれしかないんだからしかたねーだろ
それに お前に奢ってもらうほど落ちぶれちゃいねーよ」


フォローしておいた。





俺は未だに宮中を何隊に入れるか決めかねている。


隊長格の奴らは全員うちの隊に入れてほしいと言って引き下がらねェし

だから宮中は根なし草みたいに いろんな隊を行ったり来たりしている。


実力で考えるなら隊長でもおかしくないが。


「土方さん」

「ん、なんだ」

「お茶を淹れたので宜しかったらどうぞ」


宮中はたまにこうやって茶を淹れて持ってくる。


「悪いな」

「いえ、では私はこれで失礼します」


宮中は出ていった。


茶を飲む、宮中が淹れた茶はうまい上に落ち着く。

…あいつの茶が毎日 飲めるなら俺の補佐にしてもいいな。

他の野郎共が横暴だと騒ぐ光景が容易に想像できた。




ある日のこと

「総悟は宮中と市中見回りだ」


隊の編成上しかたなかった。


「沖田さん今日一日 宜しくお願いします」


まあ なんとかなるだろ。


「あーあ、美月ちゃんとなんてついてねェ」


文句を言いながら総悟達は見回りに出て行った。

だが‥

俺は見た

総悟が
ほくそ笑んでいたのを。

どうやっていじめるか色々思いついたんだろう…

前言撤回だ、許せ宮中。





昼過ぎ

「副長!大変です!!
美月ちゃんが銀行強盗と遭遇して犯人を捕らえたそうですが怪我をしているとのことです!」

「なんだと!?」


俺と近藤さんは急いで現場に向かった。

現場には数台のパトカーが
並び、一般の警察が捜査している。

やじ馬やらなんやらで辺りは騒然としていた。

 
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