「私はこれ」
薄力粉にバターに卵に搾り袋。
「お菓子でも作るんですか?」
「うん、クッキー作ろうかと思って」
本当は買う気などなかった
ただ新八君の買い物に付き合うだけの予定だった。
「へ〜搾り袋を使うなんて本格的ですね」
「美味しいんだよ
甘さ控えめじゃないけどすっきりした甘さで
弟が好きだったんだ」
「美月さん弟がいたんですか
知りませんでした」
「新八君と同い年なんだよ
似てはないけど」
新八君の笑顔を見たらなぜか弟のことを思い出した。
「美月さんの弟だったらやっぱり格好いいんでしょうね」
「女の子にはモテてたね」
本当に。
「でもクッキー美味しそうですね」
「…作ったら貰ってくれる?」
「あ、催促したわけじゃないですよ」
「ううん貰ってほしいの、でも…いらないよね」
材料を元の場所に戻そう。
「待ってください!
僕 美月さんが作ったクッキー食べたいです」
「え?貰ってくれるの?」
「もちろんです」
「ありがとう」
新八君にクッキーをあげる約束をして別れた。
次の日
ちょっと作りすぎたかな。
張り切ったせいかクッキーを作りすぎたので神楽ちゃんたちにも包んだけど、それでも余ったので
“ご自由にどうぞ”と書いた紙とクッキーを置いていって帰ってきたら
戦場かというくらい散らかっていた。
争奪戦があったそうだ。
しかも食べれなかった隊士さんたちに食べたいと泣き付かれ
また材料を買って作るはめになった。
暫らくお菓子を作るのも配布するのも
やめよう…。
→後書き