長い夢

□冥姫 第十四話
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「私はこれ」


薄力粉にバターに卵に搾り袋。


「お菓子でも作るんですか?」

「うん、クッキー作ろうかと思って」


本当は買う気などなかった

ただ新八君の買い物に付き合うだけの予定だった。


「へ〜搾り袋を使うなんて本格的ですね」

「美味しいんだよ
甘さ控えめじゃないけどすっきりした甘さで
弟が好きだったんだ」

「美月さん弟がいたんですか
知りませんでした」

「新八君と同い年なんだよ
似てはないけど」


新八君の笑顔を見たらなぜか弟のことを思い出した。


「美月さんの弟だったらやっぱり格好いいんでしょうね」

「女の子にはモテてたね」


本当に。


「でもクッキー美味しそうですね」

「…作ったら貰ってくれる?」

「あ、催促したわけじゃないですよ」

「ううん貰ってほしいの、でも…いらないよね」



材料を元の場所に戻そう。


「待ってください!
僕 美月さんが作ったクッキー食べたいです」

「え?貰ってくれるの?」

「もちろんです」

「ありがとう」


新八君にクッキーをあげる約束をして別れた。



次の日

ちょっと作りすぎたかな。


張り切ったせいかクッキーを作りすぎたので神楽ちゃんたちにも包んだけど、それでも余ったので

“ご自由にどうぞ”と書いた紙とクッキーを置いていって帰ってきたら

戦場かというくらい散らかっていた。

争奪戦があったそうだ。


しかも食べれなかった隊士さんたちに食べたいと泣き付かれ
また材料を買って作るはめになった。


暫らくお菓子を作るのも配布するのも

やめよう…。





→後書き
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