長い夢

□冥姫 第十四話
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それに反して坂田さんは悔しそうというか、殺意というか、憎悪のこもったような表情をしている。


なんなんだ?
この数秒で何があったんだ?


「行くぞ宮中」

「あ、はい」


訳が分からないけど土方さんについて行った。



映画館の前で止まる土方さん。

上映しているのは“となりのペドロ”


「見る気しねーが
気分転換に見ていくか」

「はぁ…」


映画館に入り映画を見ているが隣の方がグスグス泣いている。

こんなに泣けるシーンは無かった

実際泣いてるのは隣の方だけだし。


「やられたよ、大人の鑑賞にも耐えうる映画
いや 大人にこそ観てほしい」

「おい お前
グスグスうるせーよ
ペドロ今なんつったよ」


後ろの人からクレームが入った。


「すまねェペドロは───」

「!」

「まーーーァァァた テメェかァァァ!!
俺の行く先 行く先に現われやがって!」


隣の方が急に叫びだしたので びっくりした。


「こっちの台詞だボケェ!
友達か!?
友達になりたいのか!?」


本日二度目 坂田さん。


映画館なのに大声で言い合う二人
マナー無視しすぎ。

当然だが回りの人たちが怒りだした。


「なんだテメーら昼間からこんなクソ映画見やがってと
この編笠が言ってました」

「イライラしてんだ文句があるならかかってこいとも言ってました」


サラっと編み笠かぶってる人のせいにしたァァ!
何この人たち!?


注意しようとしたら誰かがスクリーンに飛んでいき めりこんだ。


「皆さーん映画は静に観ましょうね」


顔は恐いが気は優しい屁怒絽(へどろ)さんの一言で映画館は元の静けさを取り戻す。


余談だが屁怒絽さんと私は知り合いだ、

以前 花粉が大量発生したとき注意をしたのがきっかけで知り合った。



映画を観終わると
土方さんは裏の裏だから健康センターに行くと言って健康センターに入って行った。


…なんなんだ。


私は一人で見回りに戻った。




「美月さん」


振り返ると新八君がいた。


「新八君こんにちは」

「こんにちは、美月さんは見回りですか」

「うん、そうだよ
新八君は散歩?」

「いえ買い物です
銀さんにスクーター出してもらおうと思ったのにどっか行っちゃてて」

「私 さっき坂田さんと会ったよ」


充分すぎるほどに。


「ご迷惑かけませんでしたか」

「うん…まぁ」


なんて言えばいいんだろ。


「銀さんが迷惑かけたみたいですね、すみません」


申し訳なさそうな顔をする新八君。


「新八君のせいじゃないんだから気にしないで」


微笑むと新八君の顔が赤くなった、可愛いな。


「あっ姉上が美月さんに会いたがってましたよ」


お妙さんとは暫らく会ってない。


「中々 機会がなくて」

「いえ美月さんも忙しいでしょうし、気にしないでください」

「ありがとう、
新八君 買い物に行くんだよね
付き合っていいかな」

「はい 一緒に行きましょう」


新八君は微笑んだ。



二人で大江戸スーパーに行った。


特売品を次々カゴに入れていく新八君。


「美月さんは何を買うんですか?」

 
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