長い夢

□冥姫 第十三話
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松平様に呼ばれ、近藤さん土方さん沖田さん私は料亭の一室に来ていた。

なぜか料理はもんじゃ焼き。


「てめーらを呼んだのは他でもねェ、奴が動きだした」


奴って誰だろう?


「とっつぁんそりゃホントかい」

「奴の周りには常に俺の密偵が付いている
それに勘づいて潜ってやがったが我慢できなくなり、とうとう動きだしやがった

俺ァもう後手にはまわらねー
幕府の連中がゴチャゴチャ言うなら腹切る覚悟だ」


松平様がここまで言うとは…

高杉級の攘夷浪士なのだろう。


「決戦だよ
奴も企ても全て潰す」

「とっつぁんがそこまで覚悟を決めてんなら、俺たちも覚悟を決めて命をアンタに預ける」


「頼りにしてるぜ」


私たちは頭を下げて松平様を見送った。


「トシ 総悟 美月ちゃん 一つ確認したいことがある」

「なんだ?」

「覚悟ならできてますよ」


「いや……奴って誰なのかな?」

「知らねーで言ってたんかい!!」


先行き不安になった。


「松平様があそこまで言う相手ですよ
きっと凶悪な浪士だと思います」

「そうだねィ」

「なんにせよ準備は怠るなよ」

「はい」





後日

松平様から言い渡された場所に向かう。


今日は皆 私服
松平様の指示で私服なのだ。


私は女物の袴姿
髪もオフのとき同様 下ろしてピンで止めている、

私服だとポニーテールにしていても まず気付かれないけどね。


あと持ってきた武器は針と懐刀、帯刀していると目立つから。




大江戸遊園地前


可愛らしい女の子が腕時計で時間を確認している。


「栗子ワリィワリィ待ったァ?」


チャラチャラした男
略してチャラ男が栗子ちゃんに声をかけた。


推測するに いわゆる お付き合いしている彼氏彼女の間柄のようだ。


「私も今 来たところでございまする
全然待ってないでございまする」

「マジでよかった〜
実は電車がさァ〜…」


「野郎ふざけやがって
栗子がてめェをどれだけ待ったと思ってんだバカヤロー」


正確には一時間待ってました。


「俺が手塩にかけて育てた娘の貴重な人生を一分以上も無駄にしやがって
アノやろーの残りの人生 全てで償ってもらおう」


松平様はライフル銃を構えた。


「照準が定まりにくいな、
トシお前ちょっと土台になれ」

「待たんかィィ!!
奴って何ィィ!?
あれかァ娘の彼氏ィ!?」


「彼氏じゃねェェ!
あんなチャラ男 彼氏として認めねーよ」

「やかましーわ!
俺はお前を警察庁長官なんて認めねーよ!
わざわざ仕事 休んでまで来てやったのに娘のデート邪魔するだァ?
やってられん帰る」


「私も仕事に戻ります」


一時間と数分をムダにした。

 
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