長い夢

□冥姫 第十一話
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私も加わろうとしたが、ある人が駆けていく姿を見てやめた。


「新八 木刀もってきただろうな」

「あ、はい」


新八君から木刀を奪い
坂田さんが先頭に躍り出る。


「工場長すんませーん
今日でやめさせてもらいまーす
お世話になりました」


坂田さんの一撃がマムシZを破壊した。


私はその間に山崎さんの縄を切る。


「けーるぞ」


いつものけだるそうな声に目。

新八君と神楽ちゃんは坂田さんを追い掛けて帰って行った。


「やっぱりアイツらは ああじゃないと、ねっ局長」

「きみは誰だ」

「………」






なんだかんだで近藤さんの記憶も戻り今日は大晦日。

大晦日ということで
ささやかながら宴会をすることになった。


まずは近藤さんの挨拶なのだが私は下を向いている。


「本来なら大晦日くらい、なりふり構わず騒ぎたいが我々には江戸を護るという使命がある

だから酒はこの一杯で我慢してくれ
感謝の念なら俺がいくらでも注ごう

じゃあ皆一年お疲れーー
カンパーイ!!」

「充分なりふり構ってねェーじゃねーか!」


近藤さんは全裸だった。


そして始まるどんちゃん騒ぎ。


「俺は飲まねェからお前らは楽しんでろ」


土方さんは出ていこうとする、

沖田さんが理由を聞くとマムシの残党が不穏な動きをしていて
倉庫にあった大量の爆薬が無くなったそうだ。


私も部屋に帰ろう。


「土方さん 私も部屋に戻ります」

「お前は宴会 楽しんでろ」

「ダメですよ無礼講とか言ってお酒飲まされるに決まってます」

「じゃあ戻るか」

「はい」


部屋に戻る途中


「酒の代わりに茶でも飲まねェか」

「いいですね、私 淹れてきます」


台所でお茶を淹れて土方さんの部屋で飲んだ。


「お前は変わらず、茶 淹れるのうめェな」

「手順どおりに淹れてるだけですよ」

「初めて飲んだときはいつもと違う茶葉使ってんのかと思った」

「こういうことは躾の一貫として習いましたから」


家族に。


皆 今頃なにしてるだろ。


「…宮中 今度一緒に初詣にいかねェか」

「はい、ぜひ」


嬉しくて微笑んだ。


「お前が傍にいてくれるなら酒の飲めない大晦日も悪くねェな」

「お上手ですね」


こうして大晦日の夜はふけていった。





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