長い夢

□冥姫 第十話
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ここでは莫大なお金が動いている。

権力者という人種は得てしてお金が大好きだから、幕府の役人である私たちは手が出せない。

沖田さんはここを潰させるために坂田さんを誘ったのか。

当然だけど坂田さんは断った。

しかし煉獄関の最強闘士“鬼道丸”をさぐるよう坂田さんに頼む沖田さん。

「これは俺の個人的な頼みなんで近藤さんや土方さんには内密に…」

私、共犯者になってる?


坂田さんが去った後、沖田さんと煉獄関を出た。

「もしかして美月ちゃんはここ知ってた?」

「はい、以前から知っていました」

退魔師というのは裏の世界と関わりが深い。

「そーかい少し意外だねェ」

皮肉だよね
光に影はつきもので光以外 何もない世界なら影は存在しない。

物も人もいない世界なら。





煉獄関近くの通路

「敵さんも尻尾はなかなか出さねーや
ザコをやったって何も出てこねーし」

のしたザコの上で胡坐をかく沖田さん。

「そんな下っぱ何人やったって何も出てきませんよ」

ザッ

砂利を踏む音がした。

「オフの日まで仕事とは ご苦労だな総悟
宮中もこんなところまで見回りしてるとは知らなかったよ」

最悪なことに土方さんが現れた。





ファミレス

土方さん沖田さん坂田さん私の前にはマヨネーズが大量にかかったカツ丼がある。

「さぁさぁ遠慮せずに食べなさいよ」

遠慮したい。

「何だこれ」

「すまねェ旦那、全部ばれちまいやした」

「俺が言ってんのはカツ丼のことなんだけど」

「これはカツ丼、土方スペシャルだ」


坂田さんはカツ丼を断り、チョコパフェを頼んだ。


「宮中 食わねェのか?」

「ダイエット中なんです」

してないけど、今はする。

「お前のどこにダイエットの必要性があるんだ?
それに男と女じゃ太って見える水準は違うんだぞ」

「じゃあもっとカロリーの低いハンバーグ定食にします」

ハンバーグが高カロリーなのは知っているが
この溢れそうなマヨネーズのかかったカツ丼に比べたら断然 低い。


沖田さんは犬の餌 呼ばわりしているがカツ丼を食べている。

すごいな沖田さん。

「奢ってやってるのに、なんだこの敗北感。
それより本題だが
総悟に言われたことは全部忘れてくれ」

土方さんも煉獄関のことは全部…黒幕さえも知っていたそうだ。

煉獄関は将軍様を傀儡(かいらい)にしている事実上のこの国の支配者“天導衆”の遊び場だから手がだせない

いずれは潰すが今は時期ではないそうだ。

正論だと思う。

近藤さんが知ったら、なりふり構わず突っ走るのは目に見えているから教えるなとも言われた。




しかし…話はこれで終わりではなかった。


その夜、鬼道丸の正体だった“道信さん”が引き取っていた孤児たちと逃げる最中、煉獄関の奴らに殺されのだ。

 
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