長い夢

□冥姫 第十話
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見回り中に私服姿の沖田さんと道端で出会った。

「偶然ですね、どこかにお出かけですか?」

「ちょいと女子格闘技を観戦しようと思ってねィ
美月ちゃんも一緒にどうでェ」

「見てのとおり仕事中です」

「ちょっとくらい いいじゃねェか」

沖田さんは私の手首をガシっと掴むと歩きだす。

「何するんですか
こんなとこ土方さんに見つかったら…」

始末書と反省文だな。

「美月ちゃんはよく土方さんの書類手伝ってるんだろ
少しくらい遊んだって文句は言われねェよ」

「言われますよ」

土方さんの別名は鬼の副長ですが!?

「土方さんばっかり美月ちゃんを独り占めする時間が多いなんて不公平だと思わねェか?」

私に同意を求められても…。

それに私語どころか別々の部屋で書類を書いているだけですが?

「だから今日は俺とデートしやしょう」

嫌なら手を振り払えばいいのだ
だけどそれはきっと沖田さんを傷つけることになる。

「……ご一緒します〜」

始末書と反省文の覚悟を決めた。


着いた先は青空会場
結構な人数が集まっている。

蓋を開ければ
元主婦の女性とアイドルのお通ちゃんの格闘試合だった。

試合が始まってすぐ神楽ちゃんがリングに乱入。

「ええっ!?」

なんで神楽ちゃんが?

「何やってんだァァ
ひっこめチャイナ娘
春菜(元主婦)目ェつぶせ目!」

目をやってはいけません。

あれ?
坂田さんと新八君がいて目が合った。


「いやー奇遇ですねェ
今日はオフなんで大好きな格闘技を美月ちゃんと観に来てたんでさァ、デートですねい」

「美月ちゃん、こんなサドと付き合ったらダメになるヨ
早く考え直したほうがいいネ」

「チャイナは黙ってろ
俺は女子格闘技が特に好きでしてね
みにくい表情で掴み合ってる女なんて爆笑もんでさァ」

「なんちゅーサディスティックな楽しみ方してんの!」

「もちろん美月ちゃんが戦ってる姿は別ですぜ」

「それはどうも」

「一生懸命な人を笑うなんて最低ヨ」

「試合に乱入してた奴が言うんじゃねーよ」

「それより旦那、面白い見せ物が見れるところがあるんですが、暇ならちょっと付き合いやせんか」



路地裏のとある場所


地下に続く長い階段を下りた先にあるもの

それは地下闘技場 煉獄関

ここで行われているのは本当の殺し合い。

お金のために斬り合う浪人、賭けまで絡んでいる場所。


「趣味のいい見せ物だな」

坂田さんのもっともな皮肉。

私も初めてここを見たときの嫌悪感は覚えている。

神楽ちゃんは眠れなくなったらどうすると沖田さんに掴み掛かった。

 
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