長い夢

□冥姫 第七話
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沖田さんが提案した夏服は、メイド服だった。

「そんな動きにくそうな服は着れません」

機能性に欠ける。

「残念だねィ」

がっかりしたように言われた。

心なしか土方さんも がっかりしているように見える
…気のせいだよ、うん。


「調査の方はどーだ?」

近藤さんは悪ふざけの産物を着ている。

「……」

言葉をなくした。


「潜伏したテロリストなら簡単だが、捜し人が捜し人だけに勝手がわからん。
お姫さんがどうして家出なんざしたのか俺には分からんよ」

将軍様の妹君 そよ姫様の写真を見ながら土方さんが言った。


物語に出てくる主人公のお姫様は自由を愛している人が多い。

自由はよほど魅力的に見えるのだろう。

あと考えられるのは、一目惚れした相手に会いたくてお城を抜け出す、くらいかな。


「姫といっても年頃の娘の悩みなんて似たようなもんだろ
お父さんの視線がいやらしいとか
お父さんが臭いとか」

「お父さんばっかだな」

「美月ちゃんはどう?」

「父上はいやらしい視線なんてしません、
私はお姫様が家出した理由がなんとなく解りますね」

「やはり同性だと解るものがあるんだな」

「お姫様は自由を望んでるんじゃないでしょうか」

「そーゆーもんかねェ」

「もしくは居ても立ってもいられない身分違いの恋、ですかね」

恋する女の子の行動力をあなどってはいけない。


「理由はどうあれ江戸中を正攻法で捜すなんざ無理がありやす、
ここはパーティを開いて姫さんをおびきだしやしょう」

「そんな日本昔話みてーな罠に引っかかるのはお前だけだ」

「大丈夫でさァ土方さん
パーティはバーベキューパーティですぜ」

「何が大丈夫なんだ?
お前の頭が大丈夫か?」

バーベキューパーティに おびき出されるお姫様ってどんなお姫様なんだろ?

沖田さんのお姫様像に疑問が生まれた。


「局長ォォォ!!」

「どーした山崎!?」

山崎さんも悪ふざけの産物を着ていて、土方さんは何か言いたげな視線を山崎さんに送る。


「目撃情報がありました、姫様はかぶき町に向かったようです」

「よりによってかぶき町とは質が悪い」


立場上ホントはこんなこと思っちゃいけないんだろうけど、一日くらい自由を満喫させてもいいんじゃないだろうか?

理由はともあれ、家出するくらい外に出たかったんだから、一日くらい良いんじゃないだろうか?


目撃情報をもとに私なりに捜した結果、
神楽ちゃんと一緒にいるお姫様を見つけた。

お姫様楽しそう…。

 
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