長い夢

□冥姫 第六話
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「美月ちゃんってモテるよね」

「最近は全然モテませんね」

意外な答えが返ってきた
てっきり全否定するもんだと思ったのに。


「昔はよく一緒に来いってナンパされたり、人質になってもらおうかと誘われたり、わざと誘いにのってアジトに乗り込み、皆と遊んだりしたんですけどね
最近は逃げる人のほうが増えちゃいました」


ん?


「それって拉致誘拐されそうになったんじゃ…」

「そうとも言いますね」

冥姫の名は伊達じゃねえってことか

虫も殺さないような顔して攘夷浪士 斬ってんだよなァ。


「美月ちゃんはなんで真選組に入ったの?」

「それは…」


ドゴーン!!

店の外から爆音が響いた。


「待ちやがれ桂!」

ヅラ!?





「ごめんなさい、行きます!」

机に代金を叩くように置いて、店を飛び出した。

「美月ちゃん!?って早ッ!!」



残念なことに私が皆に合流したときには、桂には逃げられた後だった。

その後、周辺をくまなく調べたりしたんだけど、桂も足取りも見つからないまま屯所に帰る時間になった。





お風呂の後、喉が乾いたから水を取りにいった。

水を取りに行く途中
副長室の前を通ると障子が開いていたので通り過ぎざまに見たら、机の上に書類の束が積み上げられていた

…お茶持っていってあげよう。


お茶を持って副長室に入る。

「土方さん」

「あぁ?」

「お茶を淹れてきました、よろしければどうぞ」

「サンキュ」

眉間の皺が消えた。


「ずいぶんな量ですね」

「まァな」

「お手伝いしましょうか?」

「お前これから寝るんだろ」

私は寝巻を着ている。

「寝ようとは思ってたんです
でも目が冴えて眠れなくて、手伝わせてくれると嬉しいんですけど」

眠れなくはないけど、土方さん一人でこの量はムチャだ。


「…はァ、いつも悪いな」

「いえ 気にしないでください、こっちの書類持っていきますね」


土方さんの書類を手伝うときは、いつも自分の部屋に書類を持っていく。

書類が出来たら土方さんの部屋に運んで、また別の束を持って行く。



数回の往復を終えたころ、時刻はすっかり深夜。


書類を持って行ったら丁度土方さんも終わったところだった。

「お疲れさまです」

「こっちの台詞だ
すっかり遅くなっちまったな」

「そうですね、さすがに眠いので寝ます」

 
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