「美月ちゃんってモテるよね」
「最近は全然モテませんね」
意外な答えが返ってきた
てっきり全否定するもんだと思ったのに。
「昔はよく一緒に来いってナンパされたり、人質になってもらおうかと誘われたり、わざと誘いにのってアジトに乗り込み、皆と遊んだりしたんですけどね
最近は逃げる人のほうが増えちゃいました」
ん?
「それって拉致誘拐されそうになったんじゃ…」
「そうとも言いますね」
冥姫の名は伊達じゃねえってことか
虫も殺さないような顔して攘夷浪士 斬ってんだよなァ。
「美月ちゃんはなんで真選組に入ったの?」
「それは…」
ドゴーン!!
店の外から爆音が響いた。
「待ちやがれ桂!」
ヅラ!?
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「ごめんなさい、行きます!」
机に代金を叩くように置いて、店を飛び出した。
「美月ちゃん!?って早ッ!!」
残念なことに私が皆に合流したときには、桂には逃げられた後だった。
その後、周辺をくまなく調べたりしたんだけど、桂も足取りも見つからないまま屯所に帰る時間になった。
夜
お風呂の後、喉が乾いたから水を取りにいった。
水を取りに行く途中
副長室の前を通ると障子が開いていたので通り過ぎざまに見たら、机の上に書類の束が積み上げられていた
…お茶持っていってあげよう。
お茶を持って副長室に入る。
「土方さん」
「あぁ?」
「お茶を淹れてきました、よろしければどうぞ」
「サンキュ」
眉間の皺が消えた。
「ずいぶんな量ですね」
「まァな」
「お手伝いしましょうか?」
「お前これから寝るんだろ」
私は寝巻を着ている。
「寝ようとは思ってたんです
でも目が冴えて眠れなくて、手伝わせてくれると嬉しいんですけど」
眠れなくはないけど、土方さん一人でこの量はムチャだ。
「…はァ、いつも悪いな」
「いえ 気にしないでください、こっちの書類持っていきますね」
土方さんの書類を手伝うときは、いつも自分の部屋に書類を持っていく。
書類が出来たら土方さんの部屋に運んで、また別の束を持って行く。
数回の往復を終えたころ、時刻はすっかり深夜。
書類を持って行ったら丁度土方さんも終わったところだった。
「お疲れさまです」
「こっちの台詞だ
すっかり遅くなっちまったな」
「そうですね、さすがに眠いので寝ます」