「ちょっと…思うことがありまして…」
確かに私は近藤さんのことを慕っている。
だけど…土方さんの言葉で感じた疎外感、
“女の子が入れないとき”を体感したときの思い出、
それらが鋼のトゲになって私のどこかにグサリと刺さっている。
「やっぱり私は部外者なのかなぁって…」
ぽろりと口から出た台詞にハッとして、慌てて訂正する。
「なし!今のなし!聞かなかった事にしてください」
…弱い自分は嫌だ
私はいつも強く在りたい、
あの人みたいに。
でも心を自由自在には出来ないから、こうして悩みながら自分の弱さを痛感している。
「昔から一緒にいなくても今は俺たちの仲間だろ、
それとも昔から一緒じゃねェと仲間じゃないのか?違うだろ
それにお前にもあるだろう
俺たちの知らない…俺たちと出会う前の大切な思い出ってやつが」
「……そうですね
大切で分かりきったことだったのに霞(かすみ)がかってたみたいです
土方さんありがとうございます」
言葉で落ち込んだり元気になったり
言ったのが土方さんなのは同じなのにね、
きっと両方に言霊が宿ってたんだと思う。
もう痛さはなく
穏やかに微笑んだ。
「お前には笑顔のほうが似合ってるぜ」
!!
「…そう、ですか
私もう部屋に戻ります」
「えっ、オイ…」
言われたタイミングが悪かった。
他の人にも何回言われたか分からない、あの人と同じことを土方さんが言うものだから
…深く思い出して泣きそうになったので慌てて部屋に戻ったのだ。
ヘタヘタと座り込み
思い出す。
私の恋心を欠片も残さず預けている
あの人のことを。
→後書き