長い夢

□冥姫 第四話
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「ちょっと…思うことがありまして…」


確かに私は近藤さんのことを慕っている。

だけど…土方さんの言葉で感じた疎外感、

“女の子が入れないとき”を体感したときの思い出、


それらが鋼のトゲになって私のどこかにグサリと刺さっている。


「やっぱり私は部外者なのかなぁって…」

ぽろりと口から出た台詞にハッとして、慌てて訂正する。

「なし!今のなし!聞かなかった事にしてください」

…弱い自分は嫌だ
私はいつも強く在りたい、
あの人みたいに。


でも心を自由自在には出来ないから、こうして悩みながら自分の弱さを痛感している。


「昔から一緒にいなくても今は俺たちの仲間だろ、
それとも昔から一緒じゃねェと仲間じゃないのか?違うだろ
それにお前にもあるだろう
俺たちの知らない…俺たちと出会う前の大切な思い出ってやつが」

「……そうですね
大切で分かりきったことだったのに霞(かすみ)がかってたみたいです
土方さんありがとうございます」


言葉で落ち込んだり元気になったり
言ったのが土方さんなのは同じなのにね、
きっと両方に言霊が宿ってたんだと思う。


もう痛さはなく
穏やかに微笑んだ。


「お前には笑顔のほうが似合ってるぜ」

!!

「…そう、ですか
私もう部屋に戻ります」

「えっ、オイ…」



言われたタイミングが悪かった。

他の人にも何回言われたか分からない、あの人と同じことを土方さんが言うものだから

…深く思い出して泣きそうになったので慌てて部屋に戻ったのだ。


ヘタヘタと座り込み
思い出す。


私の恋心を欠片も残さず預けている

あの人のことを。





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