長い夢

□冥姫 第三話
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「近藤さんが惚れた女性ってどんな人なんですか」

「菩薩のような人だ
美月ちゃんはもし好きな奴がケツ毛ボーボーだったらどうする」

「…気にしません」


心底惚れたら容姿とか関係ないと思う。


「えっ…!」

『はっ、俺は何をうっかりときめいているんだ!
バカバカバカ!勲のバカ!!』

近藤さんは急に頭を柱にガンガンぶつけだした!


「何やってるんですか!?!?やめてください!!」


必死に近藤さんを止める。


「いやァすまんすまん」

血を流しながら笑う近藤さん。


「だ、大丈夫ですか」

「はっはっはっ、どうってことない」

確かに恋は人を狂わせるけど。


「近藤さん、私 近藤さんが惚れた女性を見てみたいです」

いきなり柱に頭をぶつけるようになるほどの女性とはどんな人なのか、

素敵な女性を目指す私としては参考に見ておきたい。

「よし!じゃあ一緒に行くか!」


有無を言わさず手をとり、走りだす近藤さん。

思わずよろけそうになった。




「…なぜ隠れるんですか?
面識が有るならもっと堂々と会いにいけばいいじゃないですか」


攘夷浪士相手じゃないんだから物陰にコソコソ隠れる必要ないと思う。


「来た、あの女性だよ」


私の疑問には答えずにある女性を指差す。


「あれ?あの人と隣にいる男の子」


相手の女性たちを見ていたら近藤さんが動いた。


「お妙さん偶然ですね」


偶然を装って挨拶をしている。


「まあストーカーゴリラじゃないの、さっさと動物園に帰らないと殺すわよ」

笑顔で辛辣な言葉をかけるお姉さん。


「こんにちは、お姉さんと池田屋のときの男の子…だよね」

隠れている意味がなくなったので姿を現して二人に挨拶をした。

「あら あなたはあのときの」

お姉さんが歩み寄った。

「お久しぶりですね、今日は大丈夫ですか」

「ええ あのときはありがとう、貴方のおかげで助かったわ。

自己紹介がまだだったわね
私は志村妙、こっちは───」

「弟の新八です」

「私は宮中美月です」

「あの〜お妙さんと美月ちゃんは知り合いですか?」

「お妙さんの草履の鼻緒が切れたところに偶然 私が通りかかって
応急処置をして直したんです」

「あの時は本当に助かったわ
私ったら名前を聞くのをすっかり忘れてしまって、お礼のしようがなくて困ってたの。

前は普通の着物姿だったから分からなかったけど、貴方も真選組だったのね」

 
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