長い夢

□冥姫 第二話
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別の屋根の上

「あらら土方さんが負けちゃいましたね」

「面白れェ人だ、俺も一戦交えたくなりましたぜ」

「やめとけ、お前でもキツいぞ総悟、あいつは目の前で刃を───」

さてと
近藤さんの話は終わってないけど、行かなくては。


「美月ちゃん!?近藤さん今すごくいい話してるんだよ!?どこ行くの?」


なぜか焦ったように言う近藤さん。


「私も…土方さん同様、腹は立ってるんですよ
仇討ちってほどじゃありませんが、ちょっと行ってきます。
夕飯までには戻りますからご心配なく」


屋根からピョンと飛び降りて銀髪の後を追った。

「美月ちゃーん?!?」


遠くで近藤さんの声が聞こえたけど無視した。



えーっと確かこの辺りに…
あ、発見。


「そこの銀髪のお兄さん」

「ん?なんだァ」

「お久しぶりです、私のこと覚えてますか?」


あえて微笑んだ。


「もっちろん覚えてるよ
宮中ちゃんだろ」


嬉しそうに笑顔で答える銀髪。


「あっ、俺はこういう者です」

銀髪がわざわざ土方さんに斬られた左手で名刺を差し出してきたので受け取った、

右手は傷を押さえて血がべっとり付いている
名刺に血がつかないように考慮してくれたらしい。


「万事屋、坂田銀時さんですか」


なるほど。


「宮中ちゃんの名前も教えてくんね」


まあいいけど。


「私は真選組十一番隊隊長
宮中美月と申します。
以後お見知りおきを」

「へー美月ちゃんて言うのか良い名前だな、
美月ちゃんって若いよね、何歳?」

「17歳です、あのこれ よかったら使ってください」


ハンカチを差し出した。


「汚れちゃうよ、いいの?」

「えぇ」

「わりィなサンキュ」


銀髪はハンカチを傷口にあてた。


「少しお話したいことがあるので
こちらに来ていただけませんか」


路地裏に銀髪を呼ぶと普通についてきた。


「もしかして愛の告白ってやつ?
美月ちゃんて意外と積極的なんだね
銀さん怪我してるからあんまり無理はできないけど、美月ちゃんのためなら頑張っちゃうよ?!」


勘違い甚(はなは)だしい。


一瞬だけキッとした眼ざしを向け、坂田さんの頬をグーで殴った

坂田さんは軽く吹っ飛ぶ。


「えぇぇ?なんで俺 殴られてんの!?」

「私にとっても近藤さんは大切な大将ですもの
その思いを拳で語らせて頂きました」


殴ってすっきりしたせいか自然と笑みが漏れた。

 
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