長い夢

□冥姫 序章
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一年前

路地裏の一角で数人の隊士が攘夷浪士達に囲まれていた。

数から考えて隊士達が圧倒的に不利。

中でも少女は一人だけ女ということもあり
攘夷浪士たちに軽んじられていた。

「お前…女…か!?
女が隊士とは真選組はよほど人出不足らしい
それとも近藤か土方の女か?
ならあんな幕府の犬どもより俺の相手をしてくれよ!」

周りにいた数人の浪士達が下卑た笑いを浮かべるも、少女は怒るどころか意にも介さず
刀をかまえ相手を見据える。

次の瞬間 目付きを鋭くさせると
一瞬で男を斬り伏せた!

下卑た笑いは消え失せ
男は驚いた顔で倒れていく。


少女の剣技を目のあたりにした攘夷浪士達に動揺が走る。

「バ、バカ野郎!油断しすぎだ!」

すぐに次の相手が斬りかかってきた
その相手も斬り伏せる

次々と敵が斬りかかってきた
それを次々と斬り伏せていく。


騒ぎを聞き付け応援に駆け付けた大勢の隊士達、
土方 沖田さえも言葉を発するのを忘れ、場の光景に驚いていた。

少女が作りあげる光景に。

入隊試験のときから強いと思っていた土方も これほどとは思っていなかった。



最後の一人を斬り伏せ
刀に付着した血を振り払う

敵がいなくなると少女の目付きは鋭さをなくし
応援に駆け付けた隊士達にいつもの調子で振り向き言った。

「遅いですよ。敵はこれで全員だと思います」

一滴の返り血も浴びず
少女は あっけらかんと言ってのけた。

 
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