長い夢

□冥姫 第二十八話
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そういえば土方さんはどこに行ったんだろう

自室に戻ったのかな?

目の腫れが引いたら お礼を言いにいかなきゃね。



それにしても…私どうしておとなしく土方さんの腕の中に納まってたのかな?

なんで嫌だと思わなかったのかな?

考えているうちに土方さん観察感想になった、

土方さんは鬼の副長と呼ばれるほど厳しい、けど優しい。

負けず嫌いで、誇り高くて、怒りっぽくて、喧嘩好きで、強気なのに怖がりで、フォローの達人で

マヨネーズが好きすぎでヘビースモーカーでクールなのに映画に感動して泣いたりして…。

まだあるけど これくらいにしておこう。


なんだか こうやって良いところも悪いところも並べて思い返していると


まるで恋しちゃってるみたい


なーんてね。



「何してるんですか?
そんなところに座り込んで」


部屋を出たら自室と廊下を繋ぐ襖の真横に土方さんが座っていた。


「あーあれだ…寝ちまったから寝かせたんだけど起きたとき俺がいないほうがいいかと思って」

「思ったものの気にして心配してくれたんですね」


だからこんなところに着流しのまま座り込んで…。


「いいな」


何が?私の顔色?


「お前の笑顔、やっと見れた」

「私‥笑ってましたか?」

「自覚ないのか」

「はい」


言われなかったら気がつかなかった。


「しっかしお前は人騒がせだな、
落ち込んでるのかと思えば一人で立ち直って」


「そうでもないですよ
今回は土方さんがいなかったらまだ泣いてたかもしれません、

それに私が笑ったと言うなら引き出したのは土方さんです」

「そう言われると悪い気はしないな」


土方さんの自然な笑顔
やっぱりいいな。


一つ思い至って土方さんの頬をぺたりと触った。


「冷たい、目の下にクマもできてますね」


今は夏ではない
冷えるのに一晩中ここにいてくれたんだ…。


「お茶を淹れてきますから取り敢えず私の部屋で待っててください」

「分かった」


お茶を淹れて自室に戻る。


「お待たせしました、どうぞ」


土方さんの前にお茶を置く。


「宮中…次に泣きたくなったら俺のとこにこい
一人で泣いたりするな

その内お前が落ち込んだりして隠そうとしても見抜けるようになってやるから覚悟しとけよ」

「そうなったら…
兄上みたいで困りますね」

「まさか弟みたいな兄貴じゃねーだろうな!?」

「…兄上にはもう…二度と……会えないんです」

「わりィ」

「いえ、さっきの話 考えておきますね」

 
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