長い夢

□冥姫 第二十七話
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私には兄弟がいる

三つ上の兄上(兄様ではない)と一つ下の弟。


分別がつかない子供の頃


「おっきくなったら あにうえとりょーやのおよめさんになるー」


二人だけに言った。



あの人を語る上で兄上は外せない。




分別がつくようになった子供の頃

母上が教えてくれた秘密

うちの家系は一人目が女の子で二人目以降は全て男の子が常で、女の子は生涯一人しか産めないそうだ、

それはいいのだが

もし最初に生まれてきたのが男の子なら宿命を背負ってるんだって

だから兄上も宿命を背負っているんだろうと教えられた。

そのときはややこしい体質だな、ぐらいにしか思わなかったけどね。


ちなみに兄上は
高望みな女の子の理想を具現化したような人で容姿も武芸も頭脳も完璧でおまけに優しくて天然

なにより心の強い人だった。


そんな兄上に憧れるな 尊敬するな、と言うほうが無理な話で私は憧れて尊敬して

いつしか少しでも兄上の支えになれるような大人になりたいと思うようになっていた。






…理想と現実というのは どうしてこうも違うのだろう?


実際 支えたいと思っても支えられているのは私のほうで私の悩みの相談相手はほとんど兄上だった。


悲しいとき辛いときは、いつも慰めたり励ましたりしてくれて
一緒に悩んでくれたり
ときには導いて背中を押してくれた

たまに難しく考えすぎて余計 悩まされたこともあったけどね。



兄上は言葉も沢山くれた。


悩みが解決した私に


「美月には笑顔のほうが似合ってる」


この言葉を一番最初にくれたのも兄上で言われたときはなんだか嬉しかったな。


…兄様に失恋したとき慰めてくれたのも兄上だ。


何も言わず頭を撫でて泣きやんだ私に


「美月は俺のお嫁さんになるんだろ、あいつのことなんかさっさと忘れろ」


そう言って苦笑させた。


とにかく兄上は私の自慢の兄で大好きで憧れで尊敬する人だ。


憧れと尊敬が変換したのか、なんなのか今でも分からないけど

15のとき

気がついたら


私は兄上に恋をしていた。


自覚したときはただ愕然とした

だってそれは禁忌で許されないことでしょう?



それからは毎日 地獄みたいに苦しかった…。


溢れそうになる想いを必死に押し込め、いつもと変わらないフリをして苦しくても笑顔を作る日々。


嫉妬だって どれほどしたか

親しい人にまで嫉妬して、そんな自分も嫌でよく泣いていた。


もちろん何度も想いを捨てようと諦めようとしたよ

出来た試しなんか無いけどね。



「美月が落ち込んでたりしたら分かるよ、理由までは分からないけど」


どれだけ平気なふりをして微笑んでみせても兄上を欺(あざむ)けたことはない
すぐに見抜かれてしまう。


それは今回も健在だ。


「どうしたんだ、何かあったんだろ?」


聞かれたときはなんとか誤魔化して逃げた。



それからは変に聡(さと)い兄上に恋心を悟られたりしないように避けてたけど

そんなので折れるような人じゃない。


諦めず聞き出そうとする兄上

それでも逃げる私の無限ループ。

 
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