長い夢

□冥姫 第二十六話
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「今日はこのために参りました、
つきましては美月のことですが
真選組を辞めさせていただきます」



「母上 私は辞めないよ
勝手に決めないで!」

「もういいじゃない」

「よくない!」


「文武両道 眉目秀麗 優しくて将来有望
しかも家柄も良くて資産家、結婚相手としてなんの不満があるの」

「不満とかじゃなくて私には…!」


好きな人がいるの知ってるでしょう?


「兄君(あにくん)は全部知っててお見合いを申し込んできたのよ」


複雑な気分だ
失恋した相手から結婚を申し込まれるなんて。


「待ってください!
美月ちゃんを辞めさせるってそんな急に!
本人だって嫌がってるじゃないですか」

「美月の意志は関係ありません」


射抜くような視線に付近の部屋まで覆うような殺気、

これは忠告だ、邪魔するなという。

覗いている隊士さん逹、無事だといいけど


近藤さんと土方さんも止まっている。


「お見合いの拒否権はないからね」

「遠回しに結婚しろって言ってるようなものじゃない!」

「美月 逃げたければ逃げればいいけど
地の果てまでも追って捕まえるわよ」


逃げるだけ無駄か。


「日時は六日後の昼二時、場所は料亭 梅香。

梅香に行く前に色々準備があるから お昼までには一旦ここに来なさい
着物は用意しておくから」


待ち合わせ場所が書いてあるメモ用紙を私に押しつけ
近藤さんたちに挨拶をして母上は家に帰って行った。



私が部屋で考えていると土方さんが入ってきた。


「どうすんだ」

「正直お手上げ状態です」


このままだと辞めさせられて結婚させられるだろうな。


「逃げたいなら協力するぜ」

「無駄ですよ
母上は半端ないんです

私×2+タチ悪い=母上 ですよ」


退魔師の頃 二本の刀を振り回していたけど それを私に教えたのは母上だ

針の扱い方を私に教えたのも母上だ

さらには体術も。


今 私が使ってるのは父上に教えてもらった剣技だが。


「最初から諦めるのか」

「母上には勝てた試しがありません」

「見合いなんて言ってるが無理矢理にでも結婚させられるかもしれないんだぞ!?」


焦ったような土方さんに対して私は落ち着いていた。


「分かってますよ」

「なんでそんなに落ち着いてんだ!まさか…嫌じゃないのか?」

「三年前の私なら喜んだでしょうね…」


失恋して泣いた私を慰めてくれたのは兄様じゃない、あの人だ。


「だったらなんで!」

「だから心を落ち着かせて対策を考えているんです」


真っすぐ眼を見つめた。


瞳孔の開いた眼が冷静さを取り戻す。


「わりィ、クールな俺が取り乱しちまうたァ ざまあねェな」

「クールなほうが土方さんらしいです」

「いや突っ込めよ
俺が恥ずかしいだろ」


突っ込むとこあっただろうか?


「さっきのとこは自画自賛かって突っ込むとこだろうが!」

「自画自賛ですか」

「おせーんだよ」


解らなかったんだからしょうがないと思います。

 
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