長い夢

□冥姫 第四話
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土方さんが沖田さんの胸ぐらを掴んだ。

「おお、居たよ。
テメーが眠りこけてる間にテロリストが乗り込んできたらどーすんだ
仕事なめんのも大概にしろよコラ」

「俺がいつ仕事なめたってんです?言いがかりはやめてくだせェ。
俺がなめてんのは
土方さんだけでさァ!!」

言い切った!


「よーし勝負だ!
剣を抜けェェェ!!」


止めるべきだろうか?


ガン ガン

心配には及ばなかった
近藤さんが拳骨で治めた。


「仕事中に何 遊んでんだァ!
お前らは修学旅行気分かコノヤロー!!」


ガン

近藤さんはうるさいと今回の護衛対象で、顔がカエルの官僚に殴られた

気が立っているそうだ。


素直に謝る近藤さん。


「ふん、役立たずの猿が!」



沖田さんが不満を口にする。


「幕府の官僚だか知りやせんが
なんであんなガマ護らにゃイカンのですか」

「あの官僚 見れば見るほどカエルですね、
やな感じのカエルは初見ですけどね」

「総悟、美月ちゃん 今の俺たちがあるのは幕府のおかげだ
恩に報い忠義を尽くすが武士の本懐」

言ってることは間違ってないけど…。


「しかし皆 やる気なしだぜ、
山崎なんかミントンやってますぜミントン」

「山崎ィィ仕事中に何やってんだコノヤロォォ!!」

「ぎゃあァァァ!!」


理不尽でないときは庇わない。


「目の前で命狙われてる奴がいたら善悪関係なく助けてやる、
それが人間のあるべき姿ってもんだよ」

近藤さんは、こういうところが危なっかしい

助けた悪い人に背中を刺されないとは限らないのに。



「あ、なに出歩いてるんすか!?」


近藤さんは勝手に出歩いているカエルを諫(いさ)めにいった。


「底無しのお人好しだと思わねえかィ美月ちゃん」

「思います」


良く言えば器が大きくて懐が深い。

こういうところは素晴らしい
生まれもった資質かな。


諫める近藤さんにカエルが大きな声で暴言を吐いているのが聞こえてきた。




ドオォォン!

銃声だ!


「局長ォォ!!」


近藤さんが…カエルを庇って撃たれた。

「近藤さん!」
「局長ォ!」
「近藤さん!しっかり!」

「フン 猿でも盾代わりにはなった」


一瞬で頭に血がのぼる。

カエル…殺されたいの?

そんなに私に斬られたいの?


沖田さんは刀を抜こうとしたところを土方さんに止められた。

「瞳孔 開いてんぞ総悟」


私は斬りかかりたい衝動を押さえるために手を固く握っていた、
手の平に爪がくいこむ。

「宮中もよく我慢したな」

ポンと頭を撫でて私の握った拳をやんわりと開かせた。

 
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