長い夢

□冥姫 第二十八話
2ページ/6ページ



お説教は私が悪いのでいいのだが
お説教のあとに


「ほら、食えよ」


マヨネーズが大量にかけられたカツ丼が…。

たとえマヨネーズが かかってなくても食欲は無い。


はしゃいだおかげで少し浮上していた心がまた沈んでいく。


「すみません、食欲ないんで欲しくないです」


断って部屋に戻った。



次の日は起きて会議にも出席していつも通り過ごした。


書類整理をして見回りに行って一日が終わる毎日。


忙しくしていれば兄上のことを忘れていられるし

隊の皆さんと一緒にいるときは気が紛れるが

夜は毎晩一人で泣いていた。


本当は泣きたくなんてない

だって兄上を想って泣いているのを知ったら兄上が悲しむ

兄上が私のせいで悲しむと悲しいから…。





宮中がおかしい。


ぼんやりすることが多くなった。

空元気だと感じることが多くなった。

何より…笑わなくなった。


さすがに他の野郎や近藤さんも心配しているが


「何かあったの?」


聞いても


「いいえ 何もありませんよ」


そう言うだけで、心を明かそうとしない。


宮中が おかしくなったのは何時からか考えて該当したのは心臓 騒ぎ

あの後からだ。


これこそあいつの母親が言っていたことだと直感した。


それは分かったが何故 宮中は変わった?

俺には理由が解らない。


総悟も同じだ
理由が解らない、


そのせいで総悟はイライラすることが多くなったようで被害者続出だ。


以前の宮中なら総悟に注意の一つでもしただろうが今は何も言わない。






理由が解らないまま月日だけが過ぎていこうとしている

そんなの、俺は認めねェ。






ある夜、フッと あいつ泣いてんじゃないのかと思った

そう思い始めると落ち着かない。


見に行ってみるか否か。



深夜

気になって仕方ないので気配を消して様子を見に行った。


細心の注意を払って中が覗けるくらい襖を開ける

宮中は居た。


ポツポツと音がしている
俯きもせずに泣いていた。


瞳から涙の雫が頬を伝い続けている。


もし宮中が俯いて顔が見えなかったなら

あの日のようにおめおめと部屋に戻っていたかもしれないし

変わった宮中に限界で顔が見えなくても同じことをしたかもしれないし

母親に宮中のことを任されたという免罪札があったからかもしれないが

泣き顔を見て放っておけるはずがなかった。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ