□度胸
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「いいだろ、あかねぇ」
「もう、だめったら!」
「いいじゃん、ちょっとだけだから!お願い!!」
「もう、ちょっとだけよ!」
「やりぃ〜!!」
苦手な英語の宿題をあかねに手伝ってもらっていた乱馬は、結局あかねのノートを丸写ししていた。
「結局こうなるのよ。」
あかねは、ため息まじりに呟きながら、どしっとベッドに座った。
今日はバスケット部の試合にかりだされて疲れが出ていたのもあり、いつもよりあっさりと宿題を見せてしまった自分も仕方ないと心で思いながら部屋の天井を眺めた。


「…っ、出来た!」
乱馬が声を上げて終わりを告げたが、何の返事もない。乱馬が無言でひたすら宿題を写している間に、あかねは睡魔に勝てず、寝息をたてはじめていた。

「お〜い。あかね、終わったぞ。」
「…」
「お〜い。寝てんのか?」「…」
足音をたてず、少しずつ近づいてあかねの顔を覗きこんだ。少し斜めの横顔が乱馬を吸い込ませる。
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