企画SS
□1万HIT記念SS
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「みつき」
耳に残る君のテノールは、いつも僕を狂わせる。
「…みつき?」
君の声を聞いていたいから、態と返事をしないと知ったら、君は呆れてしまうだろうか?
「おい、みつき!」
何時までも振り向かなければ、君が抱きしめてくれると知ってしまったから、
「ごめん、ぼーっとしててさ」
「…そうか」
この嘘すらも、きっと見破られているだろう。
僕と君はいつもそばにいるのだから。
それでも聞こえない振りをするのは、君が限りなく甘やかしてくれるから。
でもこれが、いつも君の声に狂わされている僕のささやかな仕返しだとは、気が付かないだろう。
だから、
「大好きだよ、遼」
大切な君に包まれて、感じる愛は日に日に僕を我が儘にしていく。
「オレもだみつき」
それでもくれる、君の無償の愛に、僕は偶には泣きそうになる。
「愛してる…」
今日も君の甘やかな空気に満たされて、僕の心は、
愛燦燦
甘く無くなった(苦)