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□メタボリック症候群にご用心
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 女性社員は真っ青になりながらそそくさと給水室を立ち去る。孔明はドアが閉まるのを確認してから、劉備に向かってため息を吐いた。
「ええっと…」
 劉備は冷や汗を流しながら目を泳がせ、それから萎れたように孔明に頭を下げる。
「すまない」
「うちの課には緊張感が無さ過ぎます」
「私のせいだな…」
「まあ、営業三課の人間に少なからず良い影響をもたらす、あなたのその性分はビジネス向きでなくとも美徳ですし?第一、治そうにも如何せん“性分”ですからね。どうしようもないでしょう」
 孔明の言葉に劉備はますます頭を垂れる。孔明はもう一度溜め息を吐き、劉備の顎の下に指を差し入れ、視線が合うように上へ持ち上げる。
「大事なのは総合力です。憎まれ役は私が買います。貴方はそのままでいい」
「孔明…」
 悲しいのか嬉しいのか、劉備は目を潤ませ、頬を赤くする。
 孔明は劉備から手を離し、小さく咳払いをした。
「それにしても、貴方は間食が多すぎです」
 孔明はコーヒーメーカーのポットからコーヒーをタンブラーに注ぐ。
「いやぁ、みんなが持ってきてくれるお菓子があまりに美味しそうでつい…」

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