小説

□第3部〈二人の空〉part1
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1.飛ぶ喜び/二人の空(1)


 憤り。後悔。自責。

一時の潤いある日々も、まるで砂漠に水滴を垂らすかのごとく塵散する。
日常は再び虚無と倦怠に覆われ、以前に増して虚脱感と喪失感がこの身に纏わり付く。
つかの間の潤いの日々で気付かされてしまったことが一つ。

苦しんで空を飛んでいたこと。

空っぽの心には染み渡らない、痛み。
一時の潤いによって再び中身を得たからこそ、感じた苦しみ。
しかし、自身の愚かさゆえに潤いだけが喪失する。
心に残留した苦しみと、水増しされた喪失感。
 欲しかった充実だけが跡形も無く塵散してしまった。
なんで、大切なモノは無くしてしまうのだろうか。

 自らの愚かさに嘆き、独り自責と後悔に自ら飲み込まれ。
 故に、求める答えは見つからず。
 ただ独り、喪失の痛みに溺死する。

 その行為もまた、愚かとも知らずに。
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