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「京介の調子はどう?最近よく来てくれるんだけど、部活の練習とか…」

「あー…京介シャイだからまだ仲良い友達とか出来てなくて、ちょっと不安なんじゃないか?それで優一んとこ来るんだよ」

「ふふ、そうかなぁ…」

「ほんとは優しい子だから、そのうち仲良いやつ作って一緒に来るようになるよ」


ガキだなー、京介。
そんなあからさまに毎日来てたら優一が疑問持つだろうに。ばか。


「ちゃんとサッカーやってるんだな」

「ん、順調順調。ただあいつどうにも体固いんだよなぁ」

「それに関しては俺は京介のこと言えないな。家系かな?姉さんは柔らかいけど」

「親戚っつっても血はそんなに近くないからなぁ。あたしは確かに柔らかいほうだけど」

「180度開脚するもんね」


京介の実力は本物だから、確かにめきめき強くなってる。
フィフスセクターのシード養育はそれなりに効果的なやり方してるし、実力があれば化身を出す特訓もやる。
まぁそれも乱暴なもので、隼総とか光良とかあたりは引きずり出されたって言ったほうが正しいだろう。
気力が化身を出せるほど成熟してないぶん体力をかなり消費していた。
京介は自発的に化身を発動させたから、あいつらほど負担ではなさそうだけど。
剣聖ランスロット、ねぇ。
円卓の騎士。
お前が忠誠を誓う主は誰だ、京介?


「そうだ。姉さん、これ、この試合なんだけどさ…」

「んー?FFIのアジア予選…、…韓国か」

「うん。これ、豪炎寺さんこのとき何かあった?」

「…何であたしに聞く」

「やだな、姉さんと豪炎寺さんこの頃からの付き合いだろ?」

「おまっ誰に聞いたそんなこと!」

「久遠さんって看護士さん。内科の人だからこっちにはあまり来ないんだけど、」

「冬っぺェェェ!!」


なんってことを…!!
いや、待て、落ち着け。
それだけじゃあ、付き合いがあるってだけでお付き合いしてるとはわかんないだろ。
…優一は下手にあたしのこと知ってるだけに、前からなんとなく豪炎寺さんとの繋がりを疑ってんだよな…
優一の入院費と京介の養育費が豪炎寺さんの懐から出てることもうっすらバレてる気がする。
あたしはあたしでちょっとした稼ぎがあったからもちろん全額出してもらってはいないけど、…うん。
昔から豪炎寺さんに憧れてきた優一と京介にはなんかちょっと言い出しづらくて、なんとなく隠してたんだよな。
今にして思えば正解だった。


「…こん時は豪炎寺さん、親父さんにサッカー反対されててさ。これが終わったらドイツ留学するつもりだったらしいんだ。でもやっぱ迷ってたらしくて…」

「それで動きがぎこちないんだ」


いやぁ…この頃のあたしは本当に若かった。
親父さんに対して「あんたを死んでも許さない!」とか言っちゃったもんな。
第一印象最悪すぎて笑えない…と思ってたけど、どうにも親父さんには好印象だったらしい。
次に会って豪炎寺さんの目の前で「そんなに修也が好きか」とか言いやがったときのあの顔一生忘れないからな…!
まぁ、それはさておき。


「よく気づいたな」

「豪炎寺さんは一番よく見てるから」

「いや、でもメンタル面に問題あったってとこまで気づけたのは凄いことだぜ、優一」


やっぱり優一も京介と同じだ。
この子にはサッカーの才能がある。
…きっと、いい選手になれた。


「…なぁ、優一」


優一だって、豪炎寺修也を目指せるようなプレイヤーになれた。


「なに?」


あたしの、弟だもん。


「…、明日は何か作ってきてやるよ。何がいい?」

「えー、そうだな…じゃあ…チェリーパイ?」

「………生地冷凍の奴でも許してくれる?」

「駄目許さない」

「ああもうしょうがねぇなぁ!」

「ふふふ。ねぇ、姉さん」

「あぁん?」

「俺、何一つ後悔なんてしてないよ」





「………優一」

「あのとき京介を守ることが出来なかったら、例えこの足が無事でも俺は死ぬほど後悔したと思う」

「…………」

「姉さん、よく言ってただろ。絶対に後悔だけはするなって」

「…そうだな」

「もし…京介のサッカーと引き換えにこの足が治るとしても…、俺は何度だってこの身を差し出す。あいつにはサッカーをやっててほしいんだ。それで、豪炎寺さんみたいな選手になって欲しい」


そう、だな。
そうだな。
あたしが諦めたら駄目だよな。
ごめん、優一。
お前がそういうのなら、あたしは持てる全ての力でお前のサッカーを守ってやる。
優一だって目指せるよ。今からでも。
優一はあたしの弟だもん。


「ね」

「生意気言うな、くそがき!」








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公式がこの話を持ち出す前に書きたかったんですが、予想よりかなり早く優一兄さんマジ兄さんをやってしまわれたので後手に回ってしまいました…w
優一兄さんマジ兄さん!




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