With Determined Passion

□REVO.1
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じいちゃんの占は外れたためしがない。
あれがどういう理論で成り立っているのか、陰陽師の修行をしてないオイラにはさっぱりわからんのだが、とにかく外れたためしがねぇ。

だから先日じいちゃんの占に出た結果も、たぶん外れない。

今日この家に、「定まらぬ星を持つ者」が現れるらしい。


とはいえ、


「オイラが何か出来るわけじゃねぇしなぁ」


定まらぬ星──つまり、人が生まれながらに持っているはずの運命を持たない奴ってことだ。
もしくはなんかの拍子に運命をねじまげられて、行き場を無くしているか。
今日ここに来るのはまぁいいとして、オイラがなんとかできるならしてやらんこともないがなんともできんのだから困る。
もし見つけたらすぐにじいちゃんを呼ぼう。
オイラは今忙しいのだ。


間も無く始まる次代の王を決める戦い──シャーマンファイト。inトーキョーらしい。
そのために上京しなくちゃならんのだ。
んで、そのための支度を今日中に全部終わらせんと明日の朝ここを出る前に痛い目をみることになる。
だから出来ればオイラではなくじいちゃんかたまおの近くに現れて欲しい──なんて口に出そうものなら確実にお叱りが来るだろうけど。


「うー、ボブのCD入らんのだが…」


押し込めばいける気がするが、CDやレコードの類は押し込んだら割れるかもしれないリスクがある。
困ったなぁと首をひねっていると。

どん、と。


「!?」


それはもう、まだまだ未熟なオイラにもわかるほどの大きな"気"の変動を感じ、慌てて立ち上がる。
ついうっかりビビって反射的に小鬼を出しちまったのはご愛嬌だ。

"気"の流れというか、"力"の流れというか。


(とにかくとてつもなくデケェ…!)


いつぞや青森でアンナがやらかした超鬼どころじゃない気がする。
これがじいちゃんの言っていた"定まらぬ星を持つ者"。

ごくり、固唾を飲んで周囲を見回す。


と、


「!」


視界の端に白を捉えて、勢い良く振り返る。
その先に、

まるで時空を歪めるように周囲の景色をぐちゃぐちゃにしながら、光に呑まれて真っ白な女が、


(ウエディングドレス…)


いた。


茶のような黒のような長い髪が煽られて舞っている。ただしここは室内だ。
部分的に色の違うピンクの横髪が、風が落ち着くと共に頬へかかる。


ただ綺麗だな、と、


つい見惚れていたせいで、ゆっくり開かれていく目にめちゃくちゃ動揺したのは出来れば誰にも知られたくない事実だ。

そんで当然、オイラはガン見してたわけだから、そいつと目が合うわけで、
ぱちりなんて効果音がつきそうな雰囲気で、ばっちり目が合った。




「ほ、ほんとに来た…」




そりゃあそうか。じいちゃんの占は百発百中だもんな。


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