With Determined Passion

□REVO.13
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すげなくフラれてもどこ吹く風、といった顔の葉を遠くに見ながら思わず笑いが漏れた。
まん太に引き摺られていくのを見送って、そろり。


「誰だ」

「私だ」

「お主は……」


んー、そこは「お主だったのか」からの「暇をもて余した」「神々の」「遊び」がベストだったんだけど、まぁ仕方ない。


「一刀両断してくれちゃって。おこるわよ」

「…そのような顔で言われても怒気を感じないでござる」

「冗談だもの」

「説得しようというなら無駄だ。何があってもここを動くつもりはない」

「そんなことしないしない!葉が自分でやらなきゃ意味がないし、そうでなければあなたも納得しないだろうし」

「まるで拙者が奴の仲間になるような口振りでござるな」

「なるよ」


虚を突かれたように言葉に詰まる侍の顔に高笑いしそうだ。
予測でも予知でも確信でもない、既知からの言葉であることを感じ取ったのかもしれない。


「あんまりあの人を侮らないほうがいい。最良の手段で以てあなたをものにするわよ、アレは」

「何を言われようと…」

「その一途さ、頑固さ、葉は逆手に取るからね、阿弥陀丸」


同じ言葉を繰り返そうとする声を遮って、絶対に揺らぐことのない未来を自信たっぷりに告げる。
告げるだけ告げたら、背を向けて家路へ。
あとは葉が好きにやるし、現段階で阿弥陀丸に茶々いれても仕方ないし。
あ、でもこれも言っておこうかな、


「お主は、一体…」


空気読むねぇ阿弥陀丸!
ちょうど名乗ろうと思っていたところだ!


「私は愛。麻倉葉のお嫁さんになるために日夜花嫁修業中の13歳。そして────」


笛の鳴るような声をあげて、白い小さな竜が飛んでくる。
私に触れるその刹那、竜の子はその姿を秀麗な本性へと立ち返らせる。
隠れることのない膨大な神気。
傍目でわかる神性。
まごうことなき、始祖神たる我が持ち霊。
空をなぞった白い指先が、空間を裂く。

随分サービスしますね、伏羲様!


「彼と同じく、あの世とこの世を結ぶ者」









*









こんなことに空間転移使わなくても、と思ったけど、こう、実力未知数な謎の少女…みたいな退場の仕方がなかなかどうしてかっこよくて満更でもなかったので良しとしよう。
庭の隅に陣敷いておいてよかったよかった!


「それにしてもノリノリでしたね伏羲様!本性現した挙げ句空間転移までやるとは」

「興が乗ったのでな」


ぽんっ、と可愛らしい音を立てて愛くるしい子竜の姿に変化した伏羲様がくるくると頭上を旋回する。
蛇足だが、この状態の彼を私はジープだの趙雲だのコタツだの呼んでいる。
普段はマスコット的フォルムでいざというとき立ち返る本性が物凄い神気、というこの構図、どこかで見たことがあるなぁと思ったら少年陰陽師がそんな感じだったっけ。
紅蓮ともっくん同一視するの難しい、ギャップありすぎて。
伏羲様は子竜状態だと言葉は話さないから紅蓮よりマシだな。
私は勾陳の為に少年陰陽師を読んでいたと言っても過言じゃないくらい勾陳ファンだ。
閑話休題。


「今日はそのまま帰ってくるんだっけ。郷土資料館は明日……」

「ピィ?」

「んー、先行して鍛冶屋に行っておこうか!明日ちょっと使わせてくださいってね」


さて、滞りなく阿弥陀丸を仲間にするために、一仕事してきますかね!



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