あなた

□侵食を許す理由こそが
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通り過ぎる賑やかな街の一角に蒼坊主は目を奪われる。いくつもの、何色もの小さい長方形のそれが置かれた店の前でつい足を止めて眺めると店員がこれがお勧めですと色々説明してくれた。


「いつでも話せる、か」


買えはどうせしない。しようにも金はない。


「説明書をもらえませんかね」


彼女と同じものの説明書を頼むと笑顔で応えてくれた店員に軽く礼を言って立ち去る。しまって置いたメモを見つめるとあまり馴染みのない数字が白い紙に少しばかり右肩上がりに書かれていた。


「夜行さんなら造れるだろ」


「(今はまだ手紙で喜んでいるあの娘がもっと我が儘を言うようになったら頭を下げに行かなくちゃならなそうだ)」


我が儘と言いながらそれが嬉しい己はどうかしてると声を響かせるために口の横に手を添える。


「ヤッホー呼子ーヤッホー!」


(ゲゲゲの森で自分宛ての手紙の朗読会が行われているとも知らずに、携帯の説明書を片手で掴み意気揚々と呼子を呼ぶ兄さんでした)

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