楽園世界U

□ミテ。
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悴む手を無視して
僕は空を眺めた。

季節は冬。

夜空は澄む。


其の空に、一本の線が在る事を
僕は知ってるんだ。


畏れる街灯を無視して
僕は空を眺めた。

季節は春。

暖かくなる。


其の線が段々拡がって居る事を
僕は知ってるんだ。


鼻につく臭いを無視して
僕は空を眺めた。

季節は夏。

ヒトは騒ぐ。


其の線から何かが出てる事を
僕は知ってるんだ。


甲高い耳鳴りを無視して
僕は空を眺めた。

季節は秋。

赤色が綺麗。

線から覗く何かが、段々増えて居る事を
僕は知ってるんだ。


悴む手を無視して
僕は空を眺めた。

季節は冬。

夜空は澄む。



其れは段々と世界を侵食し、僕の後ろに居る事も、
僕は知ってるんだ。


悴む手を削ぎ落として
僕は空を眺めた。

季節は冬。

世界は歪んだ。


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