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□宵闇
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深い、闇だ。
天空の方向に手を伸ばしても…何も掴めない。

ここに在るのは、僕だけか。
求めるものなどなかったか。

……そうでしたか?
純粋な怒りと感情と…そして、想いと。
それをぶつけてきた存在が…頭の中に浮かぶ。



雲雀…恭弥。









「雲雀…恭弥…」
「フルネームで呼ばないでくれる。それと、暑苦しい」
「!!」
「…うなされてたよ」


自分にのしかかるように、覗き込んでいる眼差し。
あぁ…この目だ。
この目は…僕を現実に引き戻す唯一の存在の…


「君…僕ではない何かを見てるように見えるけど」
「は?有り得ませんね」
「…何故言い切れる」
「僕が愛したのは君だ」
「…歯が浮くんだけど」

君の気持ちをつなぎ止めるためなら何だって言いますよ。
骸はそう言いながらゆっくりと雲雀にのしかかる。


雲雀の目に映るのは…唯一身を委ねた骸。
そして…窓越しの宵闇。








「…手が早いよ君」
「脱がせるのが好きなんで」
「…悪趣味」
「君の全てが見たいだけですが?」
「…………」

諦め…なのか?
いや、違うな。
この存在から向けられる感情が心地よいのだ。
だから、受け入れる。






「激しく、してよ」
「…は!?」
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