Dolce vita

□Dolce vita番外・拍手文
2ページ/23ページ




≪現在・とある国のとある街の夜の酒場にて≫





おい、酒もってきてくれ!

はいよ!ちょっと待ってておくれ!!――あら、新顔さん?いらっしゃい!下町の酒場へようこそ!

お?なんだおめぇ、竪琴か!――ほぉ、吟遊詩人なら何か謡ってくれよ!

おお!いいねぇ、妖魔と戦う戦士の歌を頼む!

ちょいと、止めとくれよ。あたしゃもっと甘ぁい恋物語がいいよ

おいおい、いい年した奴がなぁに抜かしてやがんだ。それこそ戦話のほうがマシってもんだぜ…イテ!

何かいったかい?


ウハハハ!!バッカだなぁ、こんないい夜の酒場なんだ。こう、ねっちょりぐっちょりの…

ハハハ、いいねぇいいねぇ!





「ふふ…そうですか、では黄昏の魔道王が国を開いたころの戦乱の物語、水麗王とその伴侶の出逢いの恋物語は止めておきましょう。
その代わり、子供がいない恋人たちが時を楽しむため閨の中で語る物語を謡いましょう。

夜の静寂、吹きすさぶ砂交じりの風のなか、熱い吐息が零れても許される物語…

砂漠大公と砂塵の赤蠍の、艶めいた出逢いの物語を。





世界でもっとも妖艶なる者…男でありながら“女”にされ、心を失くしてしまった者が運命に出逢い、心を取り戻し、愛に溺れるまでの物語……」





ポロン…細くしなやかな指先が竪琴を弾き、流麗な音が奏でられた。




  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ