Mechanical Hero

□My Figaro
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学のない双子は、看板の文字をフィガロに問うた。
ベイビー・ドール――フィガロはそう答えたのであった。
クラブベイビー・ドールは、ロンドンの中でも特に大きなクラブハウスだ。美人が多いということで、身分も高い者もお忍びでしばしばそこに訪れた。

双子はまじまじと看板を見て、ハッと我にかえった。


「こんなところで情報教えてくれるの?
てゆうか、フィガロここ、行きたくないんでしょう?方眉痙攣してるよ!!方眉!完全に顔にでてるんだけど…!」

双子はとんでもなく不安げだ。
「まあ、なんにしろ行けば分かるさ…でもその前に…でかい問題がある。」
方眉をぴくぴくさせながらも、フィガロは真面目にいうので、双子も真剣に聞く。何を言い出すのだろう?どれ程の問題なのだろう?
「実は、このままでは入れん。」

大問題である。

「会員証は、あいつ…リンドーロが持ってる…。しかも、クラブは女性、子供は厳禁。会員の紳士しか入れないんだよ。」

そもそもの話、クラブとパブの違いというのは、会員制かそうでないかである。生憎、ベイビー・ドールはこの通りクラブなのである。
しかも、クラブは女性と子供はお断りときた。
前から行くことを先方に告げていれば、裏口をあけてくれるのだが、今日はこの通り緊急事態なのである。先方に告げていない。
急に行くことになっても、リンドーロが会員証もっているのでなんとかなるが、その肝心のリンドーロがいないのである。

「じゃあどうするのさ!」
双子がいうと、フィガロの眉がピタリと止まった。そして、次にその口から出た言葉も、とんでもないものだった。

「強行突破!」

双子はくしゃり、と眉根を寄せた。
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