Sky Caribbean
□機械仕掛け
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一方、サカナは見張りやぐらにいた。
見張りも兼ねて、ただ空を眺めていたかったから。
ライズの島に行き、過去に彼がどんな目にあったのかを知り、海賊の襲撃に会い…いろんな事があった。
海賊戦で大きな痛手を負ったため、レアンとシリア、ロンドンとヴィズは治療中で、あの日から顔を合わせていない。
あれから何日たっても、船は静かに進んでいた。軍に見つからないように。ということは、船長はずうっと寝ていないのだろうか。
サカナはただ、雲海を見つめながら、見張りやぐらにもたれた。
ふいに、ことん、と足音がした。サカナが振り向くとヴィッツが見張りやぐらに上ってきた。
「…や、やあ…」
ヴィッツは気まずそうに、どこか照れくさそうにサカナに言う。
「サカナに…御礼を言わなきゃいけないって思って…」
ヴィッツはそう言うと「ありがとう」と言って、サカナの横にきて雲海を眺めた。
「あ、いや…どういたしまして」
ヴィッツから御礼を言われるなんて思っても見なかったサカナは、少し戸惑い気味に言う。
「あと、シリアの事なんだけど」
ヴィッツは、緊張しながら切り出したようだった。
「気づいてると思うけど…」
ヴィッツはいかにも言いずらそうだ。
((「気づいてると思うけど」…?何にだ?ヴィッツのシリアに対する気持ちに?それは、もう、十分とっくに気づいてるけど…))
サカナは、そんなことを一瞬考えてから言った。
「シリア、大丈夫?」
「え?あ、うん。修理中だって。」
一瞬の間があってから、サカナが言った。
「修理中?普通、“治療”って言わないか?」
サカナが言うと、ヴィッツは驚いた顔をする。
「まさか、気づいてなかったのか!?」