Sky Caribbean

□鉛の悪魔
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サカナは銃撃の練習場で、ホログラムのネズミをライズと追っていた。今日は一人ではなく、隣でライズも練習をしている。
「何匹目?」
ライズが一旦手を休めてサカナに聞いた。

「……」
サカナは耳栓をしていて気づかない。
「おい!」
ちょっと大きな声を出してみる。
「うおわッ!」
サカナがビクンと反応した。ライズの“ちょっと”はサカナの“でかい”である。

「何匹目えぇえええ――ッ!?」
「でかいって!声でかいって!もう耳栓とったから!そんな大きな声出すなよ!」
サカナはそう言った後、「数えてないよ」と不機嫌そうに言った。ライズよりしとめていなかったというのは明らかだったからだ。

ふと、窓を見ると雲の流れが速くなっている。…いや、早くなっているのはこの船だ。海へ下降しているように感じる。

「…ねぇ、今日は島に降りる日?」
サカナがおもむろに聞いた。

この船で生活しているうちに分かったのだが、島には定期的に立ち寄っており、その日にちはしっかりと決まっている。しかし、今日はその日ではないはずだ。
窓を見ると、やはり船は降下している。
「ん?俺は聞いてねぇぞ。」
ライズもサカナの横から窓を覗いた。
「故障かぁ?まったく、リーザーもちゃんと整備し…」
そして島の形が見えてきたとき、ライズは言葉を失った。

「…どこの島だろう。僕は来たこと無いみたいだけど…――」
その島は明らかに人の気配がなく、鉄の残骸などが目立つ、殺風景な島だ。船長はこんな島に何の用があるというのか。
サカナがそう言ってふとライズの顔をみると、ライズの顔は心なしか、少し青く見えた。

ライズは窓から顔をそらし、方向を変えて部屋を足早に去っていった。
「ちょっと…っ」
サカナも焦って後を追う。そして、一瞬さっきの島が頭によぎった。そして、おかしなことに気づく…
そうだ、島隠しの機能により、島は遠くからは見ることができない。しかし、なんで上空から島が見えたんだろうか…と、いうことは、その島は島人が住んでいない島と言うことになる。そのような島は海賊のたまり場になっていたり、軍の手が入っているという危険な場所だと聞いている。そのような島に何の用があるというのだろう。
そこまでサカナが考えたとき、前にリーザーに会ったときに言われた言葉が頭に木霊した。

―――あぁ、一つ見つかったか…―――
あの島は…リーザーの隠した島の、“唯一、軍に見つかった島…?”
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