Sky Caribbean

□黒い船
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サカナはエレの耳をつかむと、軍艦と船が連結しているところまで走った。
「急いで。」
サカナはそういうと、エレの足を柵に乗せ、尻のほうもなんとか持ち上げて空賊船へ帰した。エレは「ありがと」と口早に言うと、船へ走っていった。彼を逃がしたのは良いのだが、大問題はサカナの背後で待っている。何人もの、見なれた軍服を着た軍人がこちらを見ていた。

一人が合図をしたとたん、不自然なほど一斉にサカナに銃口を向けてきた。
サカナは、合図をしたその軍人に向かって発砲した。
直感があたったようだ、とサカナは中を降ろしながら思った。不思議な事に指揮官を撃つと、こちらに銃口を向けていた軍人達の動きが止まっているのだ。止まっている理由はまだ分からない。しかし、なにかカラクリがあるはずだ…
そう考えているときだった。後ろに気配を感じ、サカナは後ろにいた軍人の頭に銃口をあてた。
軍人は何も抵抗しない。異変を察知したサカナは引き金を引いた。銃声の音と共に軍人が倒れる。

(やっぱり…)

サカナは軍人の頭の傷口を見た。血ではなく、オイルが出ている。

(改造人間だ…)

死んだ人間を改造してロボットにしたものだ。外見は人間だが、中身は機械なので、何度殺しても直せば使う事ができる。
サカナはゾッとした。軍にいたころに噂聞いてはいたが、見た事はなかった。

(だから、これだけの軍人がいたのか)
指揮官は人間のようだ。しかし、それにしたがっていた人間は改造人間だった。だから、指示がない限り動かないのだ。

ガチャリと銃を構える音がした。先ほどから止まったままだった改造人間がこちらに銃口を再び向けている。他の人間が指揮を下したのだ。
指揮をしている軍人を探したが、見やたらない。サカナの見えないところで支持を出しているようだ。サカナは自分に近い四人の改造兵を撃つと、足元に転がる改造兵を素早くつかみ、軍人のベルトにある銃を抜き取った。これで銃は二丁。

サカナはそれを構えると残りの軍人をすばやく撃ち抜いた。こちらにも銃弾が飛んできたが、改造兵はサカナの動きに合わせて狙いを定めなおさないため、なんとか避けきることができた。

上を見ると、二階甲板からこちらに人間の軍人が銃口を向けていた。サカナは咄嗟に軍艦の船内へ続く建物の中に入る。サカナが入った瞬間、ピュンッと銃の音がした。何秒か入るのが遅れていたら当たっていただろう。

サカナは船内を見回した。
人間の軍人、改造人間が関係なく混ざり合って倒れている。
刀で切りつけた傷や、麻酔で眠る軍人――どうやらヴィズとライズの仕業のようだ。

サカナはハッとした。そうだ、さっき上から撃ってきた軍人達…こちらに来るはずだ。彼は二階甲板へ続く階段を警戒した。いつきても大丈夫のように、弾を装填しておく。
すると、フラフラと先ほどの軍人の一人が出てきた。サカナはいつでも引き金を引けるようにした。しかし、軍人の様子がおかしい。歩くのがやっとの様子だ。

サカナは眉を寄せ、銃をおろした。軍人はそのままバダリと倒れたかと思うと、頭から流血しているのに気がついた。

「サカナ!」
上を見るとレアンがいた。
「レアン…殴ったのは君…?ありがとう…助かった」
「ああ、そうだ。それにしてもお前、顔色が悪いぞ?大丈夫か?」
レアンはそう言いながら、顔に飛び散った改造兵のオイルをぐっと拭う。
「うん…大丈夫…」

バタバタと二階の方で音がした。軍人が増えたのだ。レアンはその方向に一瞬視線をやると、舌打ちすると言った。
「サカナぁ!この船の船長室は船内だ!この下!お前はそっちに回れ私は上をやる!」
レアンは背後に忍び寄った軍人に回し蹴りをくらわせた。

「君一人で大丈夫!?」
サカナが聞く。
「大丈夫だ!シリアもいる!早く、急げサカナっ!」
レアン戦闘の合間、合間にサカナを見ながら言う。

サカナは軍艦船内へと続く階段の手すりをつかんだ。
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