Sky Caribbean

□上空記
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「ロン殿ぉ!」

浜辺にいたロンドンは、防波堤の上にいる倭寇の部下に呼ばれて振り返った。
「ロン殿ぉ!お久しぶりでございまするー!」

「お久しぶりー!元気かーい?」
帽子を取り、その帽子を持った手で倭寇に向かって手を振った。

「はぁああい!!この通り、もりもりでございますよ――!!」
倭寇の部下達は、楽しそうに跳ねながらそう答えてくれた。

「変わりないなあ…」
それを見たロンドンは、懐かしそうに彼らを見つめながら、自分にだけ聞こえるくらいの声で呟く。


「ロン殿ぉ!その足元にあるのは西瓜でございますか?」
倭寇の部下の一人が、ロンドンの足元にごろごろと転がっているスイカを指差して言った。

「うん。そうだよー」
「おお!大きくて立派な西瓜でございますなあ!」
次々と、倭寇の部下達が防波堤から浜辺へ降り、ロンドンのほうへと走ってきた。

「ありがとう。たまには大きいのも良いかなって思ってね。夏だから、スイカ型にしてみたよ。ほらっ」
ロンドンはスイカをひとつ手に取り、倭寇の部下達へ高く投げたではないか。

「大胆ですな!」
「ロン殿!そんな豪快な!」
「そのようなことをしては西瓜が割れてしまわれますぞ!」

と、口々に言っていた倭寇達は、この男の思惑に気づいた。

「…ロン殿…?まさか…」

ゆっくりと回転しながら降下してくるそのスイカ。気のせいだろうか、ジジジジ、と導火線が燃える音がする。いいや、気のせいではない。そのスイカは…

「ば、爆弾だぁあああ!!!」
倭寇達が顔を真っ青にして、全速力で散ってゆく。

ジジジッ!導火線は燃えきって、爆弾に火がついた。
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