Sky Caribbean

□傷と傷
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空賊船――

どうやら軍人も、もう攻めてくる様子はない。そろそろ、皆も帰ってくるだろうか。

「爆弾卿。雨が降ってきたお…」
エレが言った。

「そうだね…」
ロンドンはニコリとも笑わない。表情は真剣そのものだった。
(雨が降れば爆弾の威力は弱まる…このまま何もないといいけれど…―)
ロンドンはそのままジッと軍艦を見ている。
そのまま暫く沈黙が続いた。雨がぱらぱらと降り注ぐ。

ぎぃ、という扉の開く音に、ロンドンとエレは振り向いた。
夕焼けコートと銀色の髪が雨風に揺れる。

「せ、船長…!」「ロー!」
ローウェンが甲板に出てきたのだ。
「雨が降っているな…」
ローウェンはそう言うと、ロンドンとエレの横を通り過ぎた。

「ちょっとロー!どこへ行くの?」
エレがローウェンの後を追って、慌てて尋ねた。

「軍艦だ。」
ローウェンはそう言うと、空賊船の柵を飛び越えた。

「…大丈夫…なの…?」
柵の近くまで近寄って、エレが聞く。
「大丈夫だ。エレ。」
ローウェンは柵の向こうから少し手を伸ばして、エレの頭を撫でてやる。
「こんなに軍艦が大きいと、決着がなかなかつかないだろう。アルウェイから情報が来た。急がないと、リィフィッシュが危なそうだ。」
ローウェンはそう言って、夕焼けコートを翻した。

「船長、お気をつけて…」
ロンドンがローウェンに言うと、彼はそれに応答するように、左手を軽く上げた。
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