Sky Caribbean

□ハンデ
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サカナは呼吸を整えながら、倒れた艦長からゆっくりと目を離した。顔を上げたそこには、操縦室の大きな窓があった。すべてのスカイハンターが倒れている。この船の上で動いているのはどうやら空賊だけのようだ。
「すごい…」
自分が劣勢かと思われた立場に居るにもかかわらず、こうして両足で立っていることが奇跡に思えてきて、唇が自然に動いた。


「急げ。リィフィッシュ。こいつらが目を覚まさないうちに、用をすませなくちゃならない」
男の声で、サカナはようやく我に返った。刀の男はさっさと操縦室を出て行ってしまう。サカナも慌てて彼の後ろを追って、操縦室を出た。

「あの、名前は…?」
追いつきながらサカナが男に聞く。そういえば、まだ彼の名前を教えてもらっていない。
「ヴィズだ」
と、男はサッパリと答える。
「しかし、軍の少年とはな…」
ヴィズというその男は、サカナを横目で見て言った。
「船も大きな爆弾を背負ってしまったもんだ…」
その言葉にサカナは意味がわからないといったふうに、少し首を傾げる。
「スカイハンターの艦長の言う通りだな。きっと軍はお前から情報が漏れることを恐れて、お前を殺そうと躍起になるはずだ。空賊は、この先もっと軍に追われることとなる…」
(元軍人を乗せるだなんて、船長は何を考えてるんだ…?)
彼は声にこそ出さなかったが、心の中で呟いた。船長の気がしれない…。

「ま、お前の銃の腕は確ってとこか…あの状態をよく回避したよ。それとその傷、ちゃんと消毒しとけよ」
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