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□夢の中で
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私は夢を見た。
満月の夜、彼の墓の前に一人の女性立っていた。
その女性は満月の光に照らされて、とても幻想的で触れてしまえば消えてしまいそうなくらいに綺麗だった。
そして、何かを私に訴えていた。
会いたいと。
目が覚めると、夢のことが気になって仕方がなかった。
夢の中の女性は私の家の近所に住んでいる理花さんという人にそっくりだった。
理花さんは私より六歳年上の私の憧れの人だった。
私はさっそく理花さんに会いに行った。
すると、理花さんは玄関まで私を向かえに来てくれて……そして、彼女は倒れた。
私は彼女をベットまで運んだ。
彼女の体は軽くて、抱き締めれば壊れそうなくらい細かった。
顔をみると、すごく真っ赤で。
案の定、熱を測ってみるとやはり熱があった。
また無理してたんだ、ホントに昔からちっとも変わらないなと思いながら、濡れタオルを彼女の額に乗せて、近くの椅子に座って彼女の寝顔を見ていた。
しばらくすると、彼女は目を覚ました。
彼女は私に、「ごめんなさい また、迷惑をかけてしまいましたね」と済まなそうに言った。
私は、「いえ、別に気にしてないですよ 今日来たのは、夢に理花さんが出てきて……ちょっと気になって来たんです」と言った。
すると彼女は、「夢? どんな夢ですか?」と聞いてきたので。
私は、「夢の中で理花さんが私に会いたいって言ってました」と答えた。
彼女は、「そう――でも私が会いたかったのは事実よ 夢の中の私も現実の私も貴方に助けを求めていたのかも知れないわね」と言い、一筋の涙が流れていた。
私は、「理花さん、もう我慢しなくていいですよ 私が側にいますから」と言うと、彼女は子供のように泣いた。
そして、私はそっと抱き締めた。
もう大丈夫と言い聞かせるように。
落ち着いた時には、もういつもの彼女に戻っていた。
その日、彼女の看病をするために彼女の家に泊まった。
そして、その夜また同じ夢を見た。
けれど、夢の中の彼女は前とすこし違っていた。
彼女は微笑んでいたのだ。 そして、彼女は私にこう言った。
ありがとうと――

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