D*H

□振り返ってmy darling
1ページ/1ページ




「ねえ。」

そう呼べば、あなたは僕を振り返る。


【振り返ってmy darling】


「ねえ。」

「どうした、恭弥?」

デスクワークから目を離して、こちらを向く大人。
金色の癖毛を透き間風に靡かせて、同じ色の瞳が僕を捉える。

家庭教師、とはよく言ったもの。
この世の他のどの人間よりも、多くの時間を共に過ごしている。

いや、それは家庭教師だから…だけではないのだけれど。

「キス、して。」

この家庭教師、ディーノは僕の恋人。

「ああ、」

だから、暇さえあれば、逢瀬を果たす。


「好きだよ、ディーノ。」

彼が身を置く、ホテルの一室。
僕の座っていたソファよりも少し離れた机で作業をしていたディーノはその場に立ち上がり、僕の元へと足を進めた。
僕がその手を伸ばせば、彼はその手首を掴んで。
そのまま引き寄せて、唇を重ねる。

僕の囁く愛の言葉に彼はもう一度、今度は深いそれで答え。
2人して暫く、その行為に酔う。

酔いながら、押し倒されて。
目が合えば、彼はふ、と口元で笑った。

「…何。」

「いや、まだ仕事、残ってるからさ。今はここまで。」

僕の頭をその大きな手で撫でて、彼は立ち上がる。
そうして、さっきまで行っていた仕事に向かうべく、体を反転させた。

「いやだ…。」

だけど。
僕はそんなの許さない。

だって、寂しいじゃないか。

せっかく、こんなに近くにいるのに。

「…恭弥、ほんと、今日は、な?」

目の前のディーノの表情からは、困惑している様子が窺える。
どうやら、本当に大事な仕事らしい。

なんだかんだ言いながら、彼もきっちりと、マフィアのボスという職務を果たしているようで。
その辺はやっぱり、大人だと関心する。


「…ねえ、」


でも。
だけど。

仕事より、恋人、でしょ?

「…恭弥…、」

「ねえ、ディーノ?」

「…、脱ぐなよ…。」


僕が手を掛けたのは、自身の着ていた制服。

カッターシャツのボタンを1つずつ外して、ディーノを見つめる。


ほら、もうすぐだよ。

彼がおちるまで。

「ねえ、ディーノ。して、よ。」

「恭弥…。」

「じゃないと僕、するよ?ここで、一人で。」

「それは…、脅しか何かなのか?俺はいいぜ?それでも。」

「ほんと、意地悪だよね。あなたって。」


くすくすと2人で笑い合って。
そのまま触れるだけのキスをする。

そこにちゅ、と舌を入れて。
またそれを絡めれば。


ディーノははあ、と1つ溜息をついて。

「かなわねぇな、お前には…。」


僕の首筋に痕をつけた。



「仕事、後で手伝えよ?」



そうしてその手は、僕の体に触れて。
優しく、丁寧に愛撫を繰り返す。

顔を覗き見れば、そこにはさっきまでとは違う雰囲気の笑顔があって。



確信した。


彼はおちたんだ。


今日も。

この僕に。




大好きだよ、ディーノ。




END






誘う雲雀さん、を頑張ってみました!←
ツンデレも良いですが、女王様雲雀さんも大好きです。

お読み頂き、ありがとうございました。

2009.2.3

D*H一覧へ




.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ