D*H
□振り返ってmy darling
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「ねえ。」
そう呼べば、あなたは僕を振り返る。
【振り返ってmy darling】
「ねえ。」
「どうした、恭弥?」
デスクワークから目を離して、こちらを向く大人。
金色の癖毛を透き間風に靡かせて、同じ色の瞳が僕を捉える。
家庭教師、とはよく言ったもの。
この世の他のどの人間よりも、多くの時間を共に過ごしている。
いや、それは家庭教師だから…だけではないのだけれど。
「キス、して。」
この家庭教師、ディーノは僕の恋人。
「ああ、」
だから、暇さえあれば、逢瀬を果たす。
「好きだよ、ディーノ。」
彼が身を置く、ホテルの一室。
僕の座っていたソファよりも少し離れた机で作業をしていたディーノはその場に立ち上がり、僕の元へと足を進めた。
僕がその手を伸ばせば、彼はその手首を掴んで。
そのまま引き寄せて、唇を重ねる。
僕の囁く愛の言葉に彼はもう一度、今度は深いそれで答え。
2人して暫く、その行為に酔う。
酔いながら、押し倒されて。
目が合えば、彼はふ、と口元で笑った。
「…何。」
「いや、まだ仕事、残ってるからさ。今はここまで。」
僕の頭をその大きな手で撫でて、彼は立ち上がる。
そうして、さっきまで行っていた仕事に向かうべく、体を反転させた。
「いやだ…。」
だけど。
僕はそんなの許さない。
だって、寂しいじゃないか。
せっかく、こんなに近くにいるのに。
「…恭弥、ほんと、今日は、な?」
目の前のディーノの表情からは、困惑している様子が窺える。
どうやら、本当に大事な仕事らしい。
なんだかんだ言いながら、彼もきっちりと、マフィアのボスという職務を果たしているようで。
その辺はやっぱり、大人だと関心する。
「…ねえ、」
でも。
だけど。
仕事より、恋人、でしょ?
「…恭弥…、」
「ねえ、ディーノ?」
「…、脱ぐなよ…。」
僕が手を掛けたのは、自身の着ていた制服。
カッターシャツのボタンを1つずつ外して、ディーノを見つめる。
ほら、もうすぐだよ。
彼がおちるまで。
「ねえ、ディーノ。して、よ。」
「恭弥…。」
「じゃないと僕、するよ?ここで、一人で。」
「それは…、脅しか何かなのか?俺はいいぜ?それでも。」
「ほんと、意地悪だよね。あなたって。」
くすくすと2人で笑い合って。
そのまま触れるだけのキスをする。
そこにちゅ、と舌を入れて。
またそれを絡めれば。
ディーノははあ、と1つ溜息をついて。
「かなわねぇな、お前には…。」
僕の首筋に痕をつけた。
「仕事、後で手伝えよ?」
そうしてその手は、僕の体に触れて。
優しく、丁寧に愛撫を繰り返す。
顔を覗き見れば、そこにはさっきまでとは違う雰囲気の笑顔があって。
確信した。
彼はおちたんだ。
今日も。
この僕に。
大好きだよ、ディーノ。
END
誘う雲雀さん、を頑張ってみました!←
ツンデレも良いですが、女王様雲雀さんも大好きです。
お読み頂き、ありがとうございました。
2009.2.3
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