D*H

□罪の意識
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仕方がない。

いくら後悔したってもう遅い。

出会ってしまったから。


すやすやと眠る恋人、恭弥の隣で、俺は目を覚ました。


【罪の意識】


昨日は学校帰りの恭弥を車で拾って、このホテルへと連れて来た。
俺が日本にいる間を過ごす、この一室で愛し合って。
そのまま眠り込んでしまったから、服は一切羽織っていない。

ベッドの上で上体を起こして、辺りを見渡す。
生生しく転がっている服が目に入り、いつものことながら、容赦がなかったと反省する。

一体全体どうして俺は、こんな小さな中学生に恋をしてしまったのか。

仮にも俺はキャバッローネファミリーのボス、跳ね馬のディーノ。
寄ってくる女なんて星の数ほどいるはずなのに。

守ってやりたいと思ってしまった。

それがきっと全ての始まりなんだろう。

「こんなに…弱ぇもんな…。」

勿論、戦闘能力の話なんかじゃない。
誰にも負けないくらい、強く育っているはずだ。
そして、今も尚成長し続けている。

弱いのは心。
こいつの…恭弥の心はきっと、皆が思っているよりも弱くて脆い。

純粋な黒い瞳の奥で、いつも怯えている。
強くなることへの喜びと共に襲い来る、人を傷つけることへの罪悪感。

並盛中学風紀委員長として、風紀を乱す人間を片っ端から「咬み殺」してはいても、
それは自分自身の中での“正義”があるから出来ること。

マフィアの正義なんて
勝手な大人の“都合”だから。

きっと消化不良のまま、定まらない心を押し殺して。

そしてそのトンファーと言う名の牙を相手へ向ける。


いつだったか。
恭弥が泣きながら俺に訴えたことがあった。

―――強くなりたい。
―――あなたに、追いつきたい。


それほどまでに惚れられているのだと、そのときは喜んだけれど。



こんな…まだまだ中学生の子どもが。
マフィアのボスである俺のように強くなりたいなんて。


そんなの、

異常すぎる。


こんな非日常的な世界に引きずり込んで。
あまつさえ、惚れてしまい。
惚れさせてしまった。




共にいようと契りを交わし。

俺は、恭弥をマフィアという檻の中に閉じ込めてしまった。





俺はこの世界から決して逃げられない。
いや、逃げるつもりなんてない。

何より部下が大切で、あいつらがいたからこそここまでこれたんだ。

裏切ることなんて出来ない。



だけど



「恭弥…。」



本当にこれで良かったんだろうか。

愛しい相手の寝顔を見て。

今日もまた。

罪の意識に刈られた。







END





ディーノさん独白。
罪の意識にかられながら、それでも雲雀さんを閉じ込めて。
やっぱり病んだディノヒバが大好きです←

ここまでお読みいただきありがとうございました!!

08.10.7

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