D*H

□bambino
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この子は

まだまだ子ども


【bambino】


「ねえ。」

目の前の恋人がその大きな目を俺に向ける。

相変わらず、無表情ではあるけれど。

その黒い瞳に含まれている色香を俺は知っているから。
すっと、その肩を抱き寄せた。

窓の外からは、元気に走り回る子どもたちの声が聞こえる。


俺の恋人、雲雀恭弥が自宅のように扱うこの部屋は。
紛れも無く、彼の通う中学校のもの。

それ故に、窓の外の声も。
この学校に通う生徒のものなのだ。

それを、子どもの声だと認識する自分に、少しばかりの嫌気が差した。

自分自身でそう感じる度に、恋人のことを“子ども”だと確認するようで。
それを認めてしまえばしまうほど。

己の本能との交戦を余儀なくされる。


「僕のこと、好き?」

たとえ、こんな風に尋ねる声を聞いたところで。


「ああ、好きだよ。」


軽い口付けを交わすことしか出来ない。

そうして、しっかりと抱きしめるだけで。
この恋人は満足してしまうのだ。


それを不満だと、思ったことはないのだけれど。

それでも、と期待してしまう。


酸素を失うくらいの深いキス。
白い体に触れる、己の手。
快楽に歪ませるその表情と。
俺を求める、鳴き声。


どれだけ頭の中で思い描いたところで、まだまだ現実にはならないその光景。

手に入れたいと思うけれど。
傷つけたくはない。


いつもいつも結局はそう結論付いて。

この子が大人になるまで待とう、と決心する。



だけど。
そう決心した心の裏で、いつも不安になるのだ。


この子が大人になる頃、この子の隣に俺はいるのだろうか。
今と同じように、この子は俺を必要としてくれるのだろうか。


いや。
それ以前に。

俺はまだ、この世に存在するのだろうか。


いつこの世から旅立ってもおかしくない、俺の状況。
職業柄仕方がないし、仲間を守るためなら命も惜しくない、と思うのだけれど。


それでも。

生きていたいと思う。

この子が大人になるその日まで。



「ディーノ…。」

俺を呼ぶ腕の中の子どもは、いつの間にか。

夢の中へと旅立っていた。



END





…よくわからない;;

雲雀さんが大人になるまで待つつもりだけど、それまで自分が生きていられるのか、不安に思うディーノさん。

やっぱり中学生はまだまだ子どもなんだと思います。
十代最後の私から見てもそうなんだから、ディーノさんからしてみればもっと、ですよね。

ディーノさんに素直に甘える雲雀さんがかわいいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

2008.5.18

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