D*H
□カウントダウン
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【カウントダウン】
「…クソッ…」
ドンっと音を立てて、寝泊りしているホテルの壁を叩いた。
そんなことごときで、治まる気持ちではないが、
何もせずにはいられなかった。
「ボス。」
その音を聞きつけてか、ロマーリオが俺の部屋へと足を運ぶ。
「悪ぃ…1人にしてくれ…。」
きっと心配して来てくれたのだろうが、どうしても今は、誰かと話す気になれない。
マフィアのボスが、こんなことごときで心を乱されるなんてどうかしている。
どうかしているとは思うが、自分の立場を憎み、後悔していることも確かだ。
仕方がない。
こうなることは、いつでも想像がついたはずだ。
否。
今までにだって、何度も遭遇していた。
なのに。
ファミリーのためだというのに、すぐに行動に移せない。
このままでは、みんなが、危ないというのに。
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