8059・その他

□brainwashing
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大成功だ。


笑える、ほどに。



【brainwashing】


ボンゴレ霧の守護者を手に入れた。

六道骸、それが彼の名前。


その目を潰したあの日から。

僕は彼にあらん限りの屈辱と、あらん限りの優しさを注いだ。

対照的な2つの想い、総称すれば飴と鞭。
本能のままに彼を貪り。
気を使って彼を撫でる。

変化する彼の気持ちに気付きながらも、気付かないふりを続け。

僕の気持ちすら変化した、かのように、振る舞い続ける。


彼は、僕の戦闘能力の情報を得るために侵入した刺客。
その事実は変わりなく、どうあがこうと、無駄なのだ。

だけど、
その運命に後悔を見せる彼の姿は儚く美しく。

不覚にも見入ってしまい、確信した。

これでもう、成功は間違いなしだ、と。





「白蘭…。」


いつものように、仕事を終えた僕は骸くんの待つ部屋へと足を進める。

扉を開けるとすぐそこに彼が立っていて、正直驚いた。

目には溢れんばかりの涙を浮かべていて。
まるで声を絞り出すかのように、僕の名を呼ぶ。

「どうしたの、骸くん。」

後ろ手に扉を閉めて、骸くんの顔を覗き込む。
自らの唇を噛み締めて、言葉を紡ぐのを躊躇っているようで。

「あの…、」

それでも、どうしても言葉にしなければならないのか、拳を握り締める。

「ん?」

はっきりと、言葉が出るまで待とうと、笑顔を見せれば。

「すき、なんです、」


間違いなく彼は、そう囁いた。


「愛して、います…。びゃく、らん…。」


とうとう下を向いてしまった骸くんはそのまま固まってしまって。
代わりに、その目から流れ落ちる涙が床にポタポタと水溜りを作る。


「骸くん…。」

そんな様子がとても脆く、僕の目に映って。
消えてしまいそうなその体を、力一杯に抱きしめた。

「…っ!」

驚いたらしい骸くんは一瞬、体を強張らせたけれど。
そのまま、僕の体に頭を預け。

僕は、その耳元へ自らの口を持っていく。


そうして、囁いた。

「僕も、好きだよ。」

と。



「白蘭…?」

「待ってたんだ、君が、そう、言ってくれること。」

目を丸くさせて骸くんは僕を見て。
その瞳に視線を合わせると、その唇に自らのそれを押し当てた。

一度だけ、軽いそれを交わして。

一息もつかない内に、もう一度、今度は深く、口付けを交わす。

開いた口内に舌を押し入れて。
上顎の裏を撫で、歯をなぞる。
舌ろ絡めて、吸い寄せて。
時々、唇も舐めてみて。

「…は…ぁ…っ。」

息も出来ないくらいのその行為に、骸くんは苦しそうに声をあげる。

それでも僕はそれを続けて、続けながら、彼の服に手を掛けた。

「びゃくら…っ、」

「いいでしょ?」

口元で笑って、僕は彼の白い肌に触れる。
前を寛げたシャツの隙間に手を這わせ、そのまま、その存在を確かめるように撫でまわす。
偶然、いや、必然的に触れた突起はもう、その存在を主張させていて。

「かわいい。」

僕の加虐心を擽った。

今までだって、もっと言えば、出会ったその日から、僕らはこんな、意味のない生殖行為を続けて来た。
その殆どの、いや、全ての主導権は僕が握り。
そこに愛があった日なんてまるでなく。

最初は、そう、ただ、彼に屈辱を味わわせるためだけに行っていた。

嫌だ嫌だと拒絶を口にしていたのはもう、随分と昔のことのように思われる。
いつしか、彼からはその類の言葉が消え。
隠して、いたのだろうが、目に見えて分かるほど、僕を求めるようになっていった。

堕ちるまで、もう少し。

そう僕が感じてからは時折飴を、優しさをその行為の中に織り交ぜて。


とうとう、今日、堕ちて来たのだ。
本当の意味で、僕の腕の中に。


「…っ、や…っ、」

一通り、彼の上半身に手を這わせて。
突起には舌を這わせて。
その首筋に噛み付き、鬱血の痕を残す。

膝を使って確かめた彼自身はもう、欲を溜め込んでいて。

「ここで、する?」

扉の前で、立った状態のまま、ではどうにも出来ない程、限界が訪れていた。

「…、が…、向こうがいいです…。」

節目勝ちに骸くんはそう呟き。
その声を聞いた僕は彼を抱える。

口付けを交わすことを怠らず、そのまま、彼をベットの上へ。

「もう、こんな、だよ?」

そこからはもう、短い時間の内に彼の衣服を全て剥ぎ取って。
彼に触れ、口にすら含む。

「…っ、」

感じているのかどうなのか。
いや、多分感じてくれてはいるのだろうけれど。

骸くんは頑なに目を閉じて、こちらを見ようとはしない。

「今まで、ごめんね…?」

だから僕は、咥えたまま、小さく謝罪の言葉を口にして。
そうすれば骸くんは驚いて、僕を見る。

「酷いこと、たくさん、したよね?」

優しく、優しくそれを扱い。
口を離してからも、自らの手で、彼を追い込む。

「もう、しないから。」

はぁはぁと肩で息をする彼の頬に、反対の手で触れて。


「…っ、!!」

そこに口を付ければ、彼はそのまま、欲を吐き出した。


それを指に絡め取って、今度はそこに塗りつける。

「…これからは、優しく、するから。」

1本ずつ、そこを広げるように、指を増やして。

「だから…。」


そうして、僕自身を、そこに押し当てて。


「…っ、や…、びゃくら…っ」

中へ、侵入させた。



だから。

優しくするから。

大切にするから。



だから。



「僕のために、戦ってよ。」


大好きな、骸くん。




「…ひぁ…、い…っ、」

彼を更なる深みに導くように、僕は僕自身を前に進める。
イイトコロ、に重点を置いて。
動いて。
生理的な涙でぐちゃぐちゃの骸くんの顔を覗き込む。
口付けを施し、痕を残し。
手では他の、それを追いやって。


「びゃくら…ん…っ。」

「さま、って言える?」

僕を呼ぶ彼に、言葉を掛ける。


「僕を愛しているなら、僕のために戦って。」


僕はボンゴレの奴らみたいに、君を、あんなところに閉じ込めたり、しない。
必ず、君を助けに行くから。
君を、本当の君を今度はちゃんと、この腕に抱いてみせるから。

「びゃく、らん…。」


真剣な眼差しで、彼を見つめる。
握った手に力を込めて。

「愛してるよ、骸くん…。」


そうすれば、もう。

「僕も、愛して、います…。白蘭…さま。」


彼は
完全に、


僕の手の上に




堕ちた。












ふふ。

驚いた、その顔。


本当に、愉快、だよ。



ボンゴレ10代目。


「白蘭さまに手を出す者は、何人たりともここを通す訳にはいきません。
ここを通りたいのであれば、僕を殺してからにしなさい、

沢田綱吉。」






END






以前、ブログに書いた、本当の意味での洗脳ネタ。
いつか、洗脳された骸さんが登場してくれるはずだと思い込んでいます←

っていうか…。
やってしまった、最中orz
書く度にだんだん内容が増えていっているような気がする…;;
最後こそ書かなかったものの、ここまで順を追って書いたのは初めてです。
拙すぎますが、萌えて頂いていれば幸いです。

相方に見られると恥ずかしすぎるので、見ていないことを祈りつつ(笑)

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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