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□15000HIT 鬼隠し編の魅音
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圭ちゃん…がおかしくなり始めたのは転校してきて少し経ってのことだった。

圭ちゃんはとても面白くてからかうにはちょうど良い相手だった。

女装なんかもいやいやながらして皆で笑ったよね。

あはは、それじゃ圭ちゃん変態だよ。

そんな圭ちゃんが好きだった。

―――綿流し。

それは皆と遊べる、そして一歩でも圭ちゃんに近づこうとする色んな意味で必死な一夜だった。

とっても楽しかった。


「こいつはお前にやるよ」

「えっ、ええ?」


きょとんとしてるレナに嬉しそうな圭ちゃん。

ちょっとずきっときたけど頑張って耐えた。

思ったより深い傷にならなくてよかったなあ。

ごまかしに圭ちゃんの背中をどんと押してやる!


「魅音―――!!」

「あっはっはっは!!」


全ては私に興味を持ってほしい、それだけのことなんだけど…

綿流し以降から圭ちゃんは少しずつ変わっていった。

…悪い方向にね…

――――

「圭一くん、今日は帰るのかな…かな?」

「みい。いつもと違うのですよ」

「おーっほっほ!負けたらどんな罰ゲームが待ってるか怖くて逃げだしますのね!?」

「いや…違う。当分の間放っといてくれ…」


いつもと違う圭ちゃんの答えに沙都子が戸惑った。

圭ちゃんが帰った後もしーんとした教室できまずかった。


「さ…さーて!おじさんたちも帰る?」


私の提案に皆賛成だった。


「レナは圭一くんを追いかけてみるね…もしかしたらあれかもしれないでしょ?それに誰かが監督のところに行って相談してくれないかな…かな」


いつものほや〜としたレナが真剣に言う。

部長の私が行かないと。


「私が行くよ。沙都子と梨花ちゃんは普通に帰ってて。また明日ね!」

「また明日なのです…」

「さようなら、ですわ」


梨花ちゃんと沙都子の声にも元気がなかった。


「途中まで行こう、魅ぃちゃん」

――――

「それは…雛見沢症候群ですね。前原くんは今そんな感じですか?」


監督が心配そうな表情を浮かべて私に問いかける。


「はい…レナや私を拒絶するんです。前圭ちゃんが風邪を引いたのでおはぎ持ってってあげたら…その…」


もういいですよ、と監督が手で制した。

圭ちゃんが雛見沢症候群にかかった。

その病気は村人だけに発症する病気。

最期は自分の喉をかきむしって死ぬ…

圭ちゃんの最期を想像しかけてぞっとした。


「…他には?」

「レナが1人で夕飯を持ってってあげたんです。親がいないから。そのときも圭ちゃんに拒絶されてドアに指挟まれて…」


監督が私の言ったことを細かくノートに記す。


「わかりました。あとは任せてください。絶対治して見せます」

「ありがとうございます!」

――――

次の日も圭ちゃんはぶすっとしていてとても話しかけられなかった。

レナも梨花ちゃんも沙都子も話しかけられず、お昼の時は外で食べた。

…私とレナが監督に協力することになった。

監督が直接圭ちゃんの家に来て無理矢理でも気を失わせるんだって。

その直前にリラックスさせようと私とレナが圭ちゃんの家で話すことになった。

沙都子と梨花ちゃんも来たがったが危ないので断った。

――――

「そうだ、まだ終わってないよね罰ゲーム!」

「…罰ゲーム?」


圭ちゃんが警戒した目で見る。

怖い…怖いよ圭ちゃん…

でも私たちが頑張らないとね…


「おはぎの罰ゲームだよ。圭ちゃん忘れちゃったでしょ?」

「はう、圭一くんじっとしてなきゃ駄目なんだよ、だよっ!」


レナが圭ちゃんを押さえつける。


「なんだよ、何をするんだよ!?」


圭ちゃんはやっぱり病気にかかってたんだ。

少しでも元気づけるために私はポケットからマジックを取り出した。

そのとたん圭ちゃんが顔色を変えた。

しまった、刺激強かった…?

圭ちゃんが怖がってるみたいだったからいやらしそうに笑いながら圭ちゃんのTシャツを引っ張る。

落書きの刑なんだからじっとしててね…っぐう…!?

何…?

すさまじい激痛が私の頭を襲った。


「魅ぃちゃん!!」


レナの叫ぶ声が聞こえる。

ああ…圭ちゃん、耐えられなくなったんだ…ね…

レナもどさっと倒れた。

どくどく血が出て上手く息ができない。

…死ぬのかな。

圭ちゃんが何度も何度もバットを振り下ろす。

痛い…痛いよお…圭ちゃん…っ。

バットの柄にかすかに悟史という名前が見えた。

圭ちゃん…最期まで伝えられなくてごめん…ごめんっ…

…大好きだよ。

私の意識はそれで途絶えた。

――――

「詩音さん…言いにくいんですが…その…」


葛西が私に耳打ちをしてくる。

その内容は信じられない内容だった。


「お…お姉が?…レナ…さんも…!?」

――――

「うっ…うわあ…ん…っく、圭一さんと魅音さん、レナさんまで…!」

「大丈夫ですよ沙都子。圭一たちとはまた会えますです…」


沙都子が私の中で号泣する。

そりゃ仕方ないわよね。

親友が次々と死んでいくんだから。

――――

「…この世界も駄目だったのです。…あうあう…」

「仲間がいない世界なんていらないわ。ほら羽入次の世界にいくわよ…」
 

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