-story-

□遠い遠い遠足
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…寒い。

こんな恰好じゃ少し震えるよ…

かばんの中を確認した。

といっても私の大切な日記があるだけ。

この日記は悟史くんが消えるまで書いていた私の宝もの。


「詩音、行くぞ」


ガブナーが私を急かす。


「あ、うん」


あれ以来オヤシロ様の気配がない。

オヤシロ様自体いるかどうかわかんないけど足音が聞こえなくなった。

レナはどうなのかな。

まだ祟りの前兆に脅え続けてるんだろうか。


「はう…どんなところかな、かなっ」


レナがカーダと話すところを見るとそうでもないんだよね。

それより話していることでズキッとどこかが痛むんだ。


「ね、詩ぃちゃん!」

「ふえ!?あ、そうだね!」


あははっ、と訳もわからず笑い返しておく。

2人も気づいてないのか話に合わせてくすっと笑っていた。

――――

「あー…雪が強くなってきたんだが…」


ガブナーが前髪をがしがしとこすった。

カーダもため息をついた。


「とりあえずあの場所で今日は野宿だな」


指差した場所は小さなほら穴。

カーダからこういうこともあるんだ、とよく聞かされたなあ…


「レナ、水をくんでくるね!」

「レナ、私もいく!」


すかさずレナに追いついていく。


「今日詩音、元気ないような…なあカーダ?」

「初めての旅だからな。疲れてるんじゃないか?」
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