-story-
□決意
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その日の夜。
1人しかいない家の中でぼんやりと沈んでいく夕陽を眺めた。
奇麗だなあ…
そのとき、ふいにチャイムがなる。
「…みー!奉納演舞の衣装を預かりに来たのですよ」
そうか、梨花ちゃんが奉納演舞の役目だったっけ。
確か衣装はお魎の部屋にあったはず。
「私が取ってくるからそこで待ってて」
無理やり笑顔を作り部屋へと走っていく。
そこで待っててくれないと困る。
鬼婆の部屋に着いた。
誰もいないはずの部屋の戸をそうっと開ける。
…あった、これか…
「梨花ちゃん、はい!今日頑張ってね」
「ありがとうなのですよ、にぱー☆」
「なんのこれしき。婆っちゃってまだ見つかってないのかな?」
嬉しそうな梨花ちゃんの表情が暗い表情に変わる。
「…見つかってないのです。きっとどこかで迷子さんなのですよ」
そう言いきると梨花ちゃんは夕焼けの方へ走って行った。
私もそろそろ出ないと…
――――
「魅ぃちゃーん!」
「魅音!」
待ち合わせ場所に圭一とレナが立っていた。
「圭ちゃんにレナ!お待たせ!」
「本当だぜ!梨花ちゃんの衣装を見られなくなっちゃうじゃないか」
「はう〜…圭一くん、ロリコンなんだよ、だよ」
冗談を言い合ったあと自転車で坂道を一気に駆け下りる。
…魅音も行ってたけどあの場所は本当に楽しいんだよね。
――――
「遅いですわ、またレディーを待たせるとはなってませんわね!」
「レディーって誰だ?梨花ちゃんいないし、でもレナはレディーだよな」
「なんですってー!」
「圭ちゃん、それ酷いんじゃないー?」
これがデジャヴって言うのかな。
再び調子に合わせてやる。
カーダとガブナーが来ているんだろうか。
「みー、皆お揃いなのです」
振り向くと衣装を来た梨花ちゃんがとたとたと走ってきた。
もちろんレナが反応する。
「…はう〜!梨花ちゃん、かあいいよう〜っ!!お持ち帰りぃ〜!」
はうはう〜と梨花ちゃんに頬ずりする。
うん、確かにいいんじゃない?
「奉納演舞は祭りのラストだからね、それまでは思いきり楽しむよー!」
私に合わせて皆がおー、と腕をあげる。
そして圭一がしゃがみこみ、慰めを受けていた。
今日は綿流し―――