-story-
□バンパイアとの出会い
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深夜0時20分。
眠りたくても眠れない。
ましてやここの人間は全て殺した。
少し外に出てみたくなったので靴をはき戸をあける。
少しは暖かくなってきたな…
園崎家の前にある丘の上に座った。
少しとげとげした、草が痛い。
…どうでもよかったけど…
これから、私とレナはどうなるんだろう?
大石さんにばれてきつい尋問かな。
そう思っていると、後ろから声をかけられた。
「…あの、興野宮はどうやっていけばいいか知ってるかい?」
振り向けば、そこには2人の男がいた。
1人は髪の長い金髪の男。
左頬に3本の傷がある。
そしてもう1人は体ががっしりしていて、ところところ傷があった。
今の私は魅音。
次期頭首としてしっかりしないと。
「興野宮ですか?だったら左にいくと古手神社があります。その神社を右に曲がると駅があるので、興野宮行きに乗ってください」
「助かるよ、ありがとう」
どうやら、このお礼と質問は長い金髪の男らしい。
「でも今はもう電車は通ってませんよ?」
きょとんと2人で見合わせる。
するとがっしりした男が悪態をついた。
「ほら言っただろ、深夜には走ってないって!」
ちっと金髪の男も悪態をついた。
「あの…この近くにホテルありますから、そこに泊まったらどうですか?」
「そうなのか?ありがとう、どこにある?」
金髪の男が礼を言う。
カッコいいかも。
「ホテルだったら左にずっといけばあります。すぐわかりますよ。あの…名前とか聞いていいですか?」
「え?ああ、俺はカーダ・スモルト。で、こっちがガブナー・パール。よろしくな!」
カーダが長い髪を少し触りながら笑顔で答えた。
そしてこっちも自己紹介しないと。
でもどっちの名前で…?
「私は園崎詩音。よろしく…」
『詩音』でいいのだろうか…
名前を間違えたことにはできないので我慢する。
「ホテルは左にいけばあるんだよな?ありがとうな!」
ガブナーがまたもや笑顔で言う。
そういや日本語上手だな。
「日本語上手だね」
え?とカーダがきょとんとする。
しまった通じてない?
「ああ、俺らの仲間は日本語ほとんど話せるんだよな、ガブナー」
「ああ!」
てことはやっぱり外国人。
「そっか。もうすぐ綿流しがあるしゆっくりしていってね!」
「綿流し?」
ガブナーが首を傾げた。
そりゃ初対面の人には祭りだってわからないだろう。
「綿流しっていうこの村の祭りがあるの。1週間後にあるからよかったら見に行ってみて?」
くすっとカーダが笑った。
顔が赤くなるのがわかる。
「ああ、時間があったらいってみるよ」
2人はそのまま左に歩き出した。
まさかこの2人が私とレナの人生を変えることになるとは―――…