俺と君(改修版)
□第3話
1ページ/8ページ
―放課後―
部活が終わり、帰る支度をしていると、
「なぁ和輝」
「ん?」
ユニホームを脱ぎながら、須藤が話しかけてくる。
「お前ん家、誰かいるのか?」
「…は?」
突然のことで、俺は持っていたシューズを落としてしまった。
そんな俺の態度に、須藤は慌てて理由を付け足す。
「いや、今日のお前バイトないのに、なんか早く帰りたそうだったからさぁ」
(そうなのか?)
考えてみると、意外と思い当たる節がいくつか思い出される…が、
「そうか?」
一応、白を切った。
そして、同学年の異性と一緒に住み始めたことを、こいつにだけはバレる訳には行かないと不意に思った。
知られたら一生、何か言われそうだ…
「あ、いや、勘違いならいいんだ」
俺の答えを聞き、あっさりと引き下がる須藤。
(ふぅ……にしても、何で俺早く帰りたいなんて思ったんだろう?)
理由を考えると、朝見た森山さんの笑顔が浮かんだ。
(!?)
軽く頭を振り、今の考えを打ち消す。
(ハハッ…まさか、な)
森山さんの顔が浮かんだことに、思った以上に動揺している俺がいた。