俺と君(改修版)
□第1話
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その時の僕が感じたものは‘恐怖‘だった。
辺りが真っ白な雪で化粧をしている中、僕の周りは赤と黒で汚れていた。
そんな中を冷たい道路に体を横たえ、僕はゴウゴウと燃え上がる車を痛みに耐えながら見ていた。
視界が半分赤いのは自分の血のせいだと思いながら
「お父さん……お母さん……」
僕は、その車に向かって呼びかける。
しかし、痛みから僕の視界はだんだん狭くなっていき…
最後は、皮肉にも車から出ている炎の暖かさが後押しになり気を失った。
――――
―――
――
ふと気がつくと、最初に白い天井が目に映った。
(………?)
自分がなぜここに寝ているのか思い出せず、とにかくなぜかベットに寝ていた体を起こそうと力を入れようとしたが、
「いたっ」
全身に強烈な痛みが走り、少し起き上がっただけですぐにベットへ倒れこんだ。
(…痛い?)
体の痛みと知らないベットに寝ていることに、頭に”?”をだし放心してしまう。
と、
「おや?気が付いたようだね…初めまして、佐野和輝(サノ カズキ)君」
突然、スッと目の前に大きな手が差し出される。
「…?」
「私の言ってる事が分かるかな?」
声のするほうを見るとそこには、白衣を来た若いお医者さんと看護師さんがいた。
その二人をなんとなく眺め続ける。
「…まぁ、無理もないか」
医師は差し出した手を引っ込めたかと思うと、首にかけた聴診器を耳に当てて
「君はね、大きな交通事故で大怪我を負ったんだよ」
そういいながら医師は僕の体に聴診器を当て始める。
その横では、看護婦さんがゴソゴソと僕の体に何かを塗ったりしている。
訳の分からないまま、されるがままになっていたけど…
ふと、気になること口に出した。
「……お父さんとお母さんは?」
ピタッとお医者さんの手が止まる。
「…まだ君は完全に回復してないから、まだ無理はしないほうが良いよ」
医師は僕の質問に答えることもなく、部屋を出て行ってしまった。
いつの間にか看護婦さんもいなくなって、僕は何も分からないまままた独りぼっちになった…
そして、父さんと母さんが死んだ事を知らされたのは僕が退院するときだった。
そのとき、僕……俺は6歳、小学生になる1ヶ月前だった。